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2013年7月 8日 (月)

中学受験勉強を始める前に

●私立に進むメリット

 中学受験勉強を始める前に一言。中学受験勉強で学ぶ内容は、大まかに言えば公立中学で習う範囲です(場合によっては高校の範囲も)。小学生のうちに公立中学生の範囲を済ませておくと、入学後は最初の2年間で中学のカリキュラムを終わらせ(公立中学では教えない範囲も教えます)、中3から高2の間で高校のカリキュラムを終わらせ、残りの1年を余裕をもって大学受験対策(主に演習)に時間を割くことができます。上位公立高校での3年間のハードさを考えると、このメリットはかなり大きいです。

 また、近年は経済格差の拡大により、子供を私立に進学させる余裕がなくなったご家庭が増加した結果、公立高校入試の競争が激化しました。昔と比べて荒れている中学校がほとんどなくなったことも影響していると思われます。私の中学時代であれば西高に入学できるだけ学力のある子供が市姫に進学し、東高に入学できるだけの学力のある子供が飾西に進学しているような状況です。私立に進めば、その競争を避けられます。昔は公立の勉強に満足できない子供を私立に進学させている印象でしたが、最近は高校入試での競争を避けるために子供を私立中学に進ませるというご家庭も増えています(私個人としては、そういう目的で私立中学に進ませるのはあまりお勧めできませんが)。

 他のメリットとして、いじめが少ないことが挙げられます。私立であればいじめをした子供を退学させることができます。学校も「いじめがあった」なんて事実が広まれば経営に直撃しますので、全力でいじめに対処してくれるでしょう。

●中学受験勉強について

 ただ、正直なところ、大学受験・高校受験・中学受験の中で、中学受験が一番難しいと思います。精神力も体力も未成熟な状態で、公立中学生が1週間丸1日かけて学ぶ内容を、塾で1日1~2時間を週3回ほど、しかも中学生の教科書よりも薄っぺらいテキストを使って学ぶのですから、理解が不十分になるのも当然です。さらに、中学校で習う数学(-の考え方や文字式・方程式など)を利用できないという制限もあります。塾のカリキュラムについていけない子供がたくさんいますが、むしろついていけなくて当然だと考えた方がいいでしょう。子供に結果を求めるのは酷です。たとえ子供の成績が悪くても、子供が「授業自体は楽しい」と感じ、かつ宿題もきちんとしているのであれば、受験勉強を続けさせた方がいいと思います。たとえ不合格に終わったとしても、中学受験勉強で学んだことは後々大いに役に立ちますから。しかし子供が全く宿題をしないような場合、早めに撤退した方がいいです。特に、漢字と計算をしない子供、汚すぎて判別できない字を書く子供、これは論外です。仮にそういう状態で子供に受験勉強を無理強いすると、子供はますます勉強嫌いになります。公立の中学で、ゆっくりと、確実に、自分のペースでやっていけばいいんです。公立からでも有名大学に行く生徒は実際いくらでもいるのですから。

 なお、中学受験勉強を始める場合は、必ず子供自身にコミットさせてください。親はあくまで「こんな世界もあるけど、どうや?やってみるか?」という提示に留めておきましょう。親が勝手に中学受験勉強を決めてしまうと、後々トラブルの元になります。希望の学校に入学できたものの、いざ入ってみるとカリキュラムについていけず、全く勉強しなくなってしまったという場合、子供「俺は元々行きたいわけじゃなかった!」親「お前の将来のためやろうが!」子供「頼んでないやろうが!」親「じゃあ、やめんかい!」子供「今さら辞められるか!勝手に入れといて、無責任なこと言うなや!」という泥仕合に発展する可能性があります。子供自身が「私立に行って勉強したい!」とコミットしたのであれば、子供が入学後に勉強しないのは約束違反になりますし、子どもを退学させる理由にもなります。

●中学受験勉強は「した方がいい」

 「で、結局する方がいいの?それともしない方がいいの?」と問われれば、私個人の意見としては、「無理のない範囲で、した方がいい」と思います。中学受験勉強は結局、中学や高校の先取り学習に過ぎません。なので、どうせ後で勉強するなら、余裕がある時期にできるだけ早く済ませた方が後々楽です。ただし、中学受験以前に、学校のテストの点数すらろくに取れないという子供は、やめておいた方がいいです。

 なお、よく、「どうせ後から中学で文字式や方程式を習うのだから、中学受験の算数の勉強は無駄じゃないか」という意見を聞きますが、決して無駄ではありません。確かに方程式など数学を使うと秒速で解ける問題は多々あります。ただ、算数的な理解の仕方と数学的な理解の仕方は別物です。公立中学から上位公立高校に進学した生徒の多くが、数学で苦戦します。それは、高校で習う数学が、きわめて抽象的だからです。しかし中学受験で数列や互除法などの単元を具体性のある算数で理解しておくと、高校で数学的に学び直すときにより一層理解が深まります。この差はかなり大きいです。算数に限らず、中学受験で学んだ理科も、化学や物理で大いに役立ちます。決して無駄なんかじゃありません。

 あくまで私個人の経験ですが、人生で一番時間を無駄にしたのが小学生時代だったと思います。小学校は中学や高校と異なり、勉強やスポーツで競争がありません。努力する方向性も見つけられず、エネルギーをもてあまし、結構ストレスフルでした。加えて、「運動会の練習」といって毎日2時間ひたすら行進の練習だけさせられたり、毎朝校長のわけの分からない話を軍人みたいに直立不動で聞かされたりと、今の人生において何の役にも立っていないことを沢山させられました。授業も簡単過ぎるし話もつまらなかったので退屈で、かといって勝手に別の勉強をしたら「ちゃんと授業聞かんかい!」と怒鳴られました。こんなところで時間を浪費するぐらいなら、たとえ大変でも、もっと高いレベルの場所で自分を高める努力をすることに時間を割くべきです。

 子供時代に学ぶべきことは、知識や技術ではなく、何かに全力で頑張ることの充実感だと思います。この充実感を知っている人は、大人になってからでも何事にも頑張れます。残念ながら小学校ではそれを教えてはくれません。本気になれる「何か」を自分で見つけられた子供はその道を突き進めばいいですが、そうでない子供には、とりあえず中学受験勉強をさせてみても良いでしょう。決して損はありません。それで勉強をすることの充実感が得られれば最高です。

●塾選びに関して

 「どこの塾がいいですか?」これはもう、子どもに体験授業を受けさせて、一番良かったところにすればいいと思います。子供にどの塾が合うかは、その子供にしかわかりません。過去の合格実績だけで判断して塾を選ぶのは、やめておいた方がいいです。学力的にまったく合わないところで無理をさせても、いい結果は得られません。それよりも、子どもの学力に合ったところで、無理のない範囲で学ばせるのが、一番良い結果につながると思います。子供に無理をさせると潰れます。仮に無理をさせて合格できたとしても、中学ですぐについていけなくなります。

 なお、子供を塾に通わせずに独学させるか、あるいは親が教える場合、使用する教材は、昔からの定番である四谷大塚の『予習シリーズ』か、学研の『合格自在』がお勧めです。私個人としては、親にある程度の学力があるのであれば、まずは子供を塾に通わせずに、子供にテキストを読ませて問題を解かせてみて、分からないところを親が教える、という形にした方がいいと思います。というのも、これは公私を問わずですが、偏差値の高い学校になると、教科書レベルの基本的事項の理解は予習として生徒に任せて、授業では応用的な内容を教えていくというケースが多々あります。そういう学校に進学すると、否応なしに、自分で教科書を読んで理解していかねばならなくなります。塾で説明を一方的に聞くというスタイルに慣れてしまっている子供は、入学後、苦労することになります。そしていつまでも塾に依存することになります。なるべく早い段階で、自分で教科書を読んで問題を解いていくという習慣を子供に身に付けさせておいた方がいいです。

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