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2013年7月23日 (火)

姫路西高等学校について

 私の母校である姫路西高等学校について。なぜか「西高に行っている」というだけで「すごい!」と言われる傾向にあるのですが(未だに「全員が全員、有名大学に行く!」というとんでもない誤解をしている人もいますが)、実際に「すごい!」のは一部の上位層だけです。入学時点ではみんな横一線で「すごかっ」たのでしょうが、カリキュラムが始まると学力差が天と地ほど開きます。その結果、有名大学に行けるのは上位2~3割、真ん中は滑り止めの関関同立行き、底辺になると姫路独協や姫工大(現:兵庫県立大学)行きとなります。当然この上位層にも浪人生が多数含まれています。西高に行っているということから勝手に変な期待をする人や好奇の目を向ける人がいますが、生徒にしてみればいい迷惑ですよね。

 西高に受かるのは決して難しくはありません。西高は、真面目にやるべきことさえきちんとこなしておけば絶対に受かる学校です。独自の入試問題を出題してくる私立と異なり、西高の入試問題は兵庫県統一の簡単な問題です。西高受験生も別所受験生も受ける問題は同じです。塾に通っていないと解けないような問題ではありません。なので、教科書の内容をしっかりと理解し、学校の宿題をきちんとこなして復習をしっかりしていれば絶対に受かります。私立の問題のように「見たこともない問題」や「その場での発想力」が求められることは基本的にありません。なので、必要なのは難関私立のような「どれだけ難問を解いてきたか」ではなく、「どれだけサボらずに、やるべきことをこなしてきたか」です。

 逆に言えば、西高に入ってからみな苦労する羽目になります。問題の難易度が一気に上がり、これまでのぬるま湯のようなレベルに浸かりきっていい気になっていた生徒は一気に地獄に叩き落されます。私立中学は中学生のカリキュラムを2年で終わらせますが、公立中学校は3年かけて終わらせます。しかも、私立は高いレベルの問題を中1の段階から解かせていますが、公立では全国平均的な標準レベルの問題しか取り扱いません。なので、西高の生徒は入学時点で、私立の高校生たちよりもすでに1年遅れているうえ、難しい問題に全く慣れていないのです(どれくらい差があるか知りたい新入生は、灘や白陵の入試問題を解いてみるといいでしょう。もっとも、私立の高校生も「すごい!」のは上位層だけで、下位層は悲惨な状況です)。そのため西高は、私立に追いつくために、ハイレベルなカリキュラムをハイペースで進めていきます。そしてカリキュラムについてこれない生徒は問答無用で置いていかれます。

 西高には姫路市内の各公立中学校のトップ10の生徒たちが集まってきます。みんな口にこそ出しませんが、おそらく「俺(私)って、天才!」と思っていたことでしょう。私もたいがいのぼせあがっておりました。そういう人達が最初の中間テストで厳しい現実を突き付けられ、あまりのショックに自信を喪失し、勉強する意欲を喪失してしまいます。かくいう私もその一人で、中学時代は常にトップ10入りで1位を取ったことも何度もありましたが、西高の最初の中間テストの順位は400人中240番台、期末テストに至っては280番台という酷い有様で、「俺ってこんなもんやったんや・・・」というショックに打ちひしげられました。このまま卒業までズルズル行ってしまう人もいれば、途中で「このままじゃ終われねえ!」と奮起する人もいます。

 西高の授業は基本的に予習先行型です。先に生徒達に教科書を読ませて問題を解かせておいて、授業でその答え合わせと解説をするという形式となります。なので、授業では基本はまったくと言ってよいほど教えてくれません。「君たちは今から(上位の)私立に追いつかなきゃいけないから、授業ではどんどん高レベルなことをやっていくからね。基本的なことは自分で教科書を読んでやっておいてよね。君たち、うちの学校に受かる学力があるんだから、それぐらいできるよね?」という感じです。私を含め、大多数の生徒はこの予習先行スタイルにはまったく合わなかったのではないでしょうか?私達のほとんどは中学時代、中学校や塾で基本を説明してもらい、基礎と基本をしっかり固めたうえで、応用的な部分を自力で解いていったからです。西高に入ると、今までの勉強スタイルの矯正を余儀なくされます。自分で教科書を読んで基本を固めていく、中学時代からそういうスタイルに慣れている生徒が上位になっていました。現在でも、塾にも行かず学校の宿題と教科書の読み込みしかやっていないのに、いつも1位になっている中学生がいることでしょう。そういう人たちが西高でも上位を独占していました。

 西高の授業のレベルはかなり高いです。レベルが高いというのは、教師の教え方が上手いという意味ではなく、「教師の言ってることが難しい」という意味です。当時の先生方には大変申し訳ないですが、正直言って、わかりにくい授業ばかりでした(あくまで個人的感想です。上位層のものすごく賢い人達にはわかりやすかったのかもしれません)。もっとも、西高は「売り」が数学だけあって、数学はかなり分かりやすかったです。予習・復習を全くしなかった私ですら、数学の授業だけはよく理解できました。対して、個人的にとりわけ苦労したのが現代文と理科(化学、生物)でした。基本的に西高の理科教師は授業中に専門用語をぺらぺら羅列するばかりなので、何を言っているのかさっぱり分かりませんでした。私が1年生のころ、化学の教育実習生の授業のほうが化学教師の授業より分かりやすいと評判になり、その噂を授業中に聞いた化学教師が「(私の)授業が分からんのはお前らが馬鹿やからや!」とブチギレたのは有名な話です。そして現代文、おそらく西高の生徒の大多数が現代文で苦労したのではないでしょうか?なぜなら、公立中学の国語の問題は基本的に「文章から抜き出せ」ば解けるものばかりなので、私たちは文章を作る訓練を全くしないまま高校に上がるのですが、高校の現代文の問題は単純な「抜き出し」だけでは正解できない、文章作成能力がないと解けないものばかり出題されます。そして、現代文教師は「生徒に文章作成能力がある」という前提で授業を進めます。なので、授業中に質問に答えられないと「何が分からへんねん…(ふー)」と憐れむような目でため息をつかれたり、「お前、ほんまに分からへんの?これが?ほんまに?」などとネチネチ言われたり、「何が分からへんねん!ボケ!!カス!!」と罵られたりしました。そして、授業の必要性を全く感じなかったのが英語です。英語の授業では、文法を解説してもらったという記憶が全くありません。授業終わりに「予習して来いよー」と宿題を出され、次回の授業で「よし、答え合わせするぞー」といって答え合わせと解説をする、ただその繰り返し。正直、「自分で答え合わせした方が早くね?」という感じでした。

 「じゃあ、お前はどうやって勉強したんだ?」と言われると、実際のところ、ほぼ独学です。授業が全く理解できない以上、自分でなんとかするしかありませんでした。ちなみに、私の周りの同級生たちも実質ほぼ独学でしたし、更に言えば、大学時代の友人たちも独学で受験を切り抜けたという人が少なくありませんでした。「結局、自分でするしかないんだよなー」、で、「こいつらはわしらが育てた(キリッ)!」って学校にドヤ顔されるのが「腹立つんだよなー」と。結局、どこも同じなんだなーと思いました。

 授業に関しては不満点ばかりですが、良い所もありました。それは、西高は有名大学に合格するために必要な勉強の方向性をきちんと示してくれたことです。入学時に学年主任から言われたのは、「カリキュラムについて来れれば、阪大以上は保証する」とのこと、それは間違いなかったと思います(その「ついていく」のが大変なのですが)。おかげで勉強の方向性にブレなくて済みました。もっとも、西高には昔から「国公立一神教」という妙な宗教があり、私のような私立文系は異端者として迫害されます。早慶狙いの人は自力で頑張らねばなりません(そして合格しても大して喜ばれません)。また、先輩後輩含めて、西高の生徒達はみないい奴ばかりでした。中学時代の同級生たちと比べて思ったのは、やはりそれなりに育ちがいいのか、「みんな大人だなあ」ということでした。中学時代に同じように勉強して結果を出してきたという境遇だけに、気が合うのはある意味当然かもしれません。また、部活動はどの部も毎日2時間以上きっちりハードにやっていました。私立では運動時間が少なすぎる学校が非常に多く、それが原因でストレスを抱え込む生徒が非常に多いのですが、西高ではその心配はあまりありません。ここは非常に良いところだと思います。

 今思い返してみても、授業に関しては不満が多いです。自分が教える立場になってより強く思うことは、「もっと基本をしっかり教えて欲しかった」ということです。もっとも、「じゃあ行かない方が良かったのか?」と問われれば、そんなことはありません。個人的に西高に行って一番良かったことは、「お前の実力なんてこんなもんだ」とはっきり認識させてくれたことです。西高での勉強のレベルの高さが自己成長のための良いきっかけになったことは間違いありません。西高は教師の意識が非常に高いので、本気の人にはきちんと応えてくれる学校であることは間違いないです。カリキュラムついていくのが大変ですが、挑戦してみる価値はあります。

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