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2015年2月

2015年2月 9日 (月)

歴史教科書の限界

 以前ブログで教科書の重要性を説きました。教科書が最も優れた教材であるのは間違いないですが、こと歴史に関しては、純粋に学術的でない部分があります。

 数年前からですが、歴史の教科書に「朝鮮が中国の属国だった」という記述が復活しました。それ以前は朝鮮が中国の属国であるという事実は伏せられていました。韓国政府の「朝鮮が属国であった事実を書くな」という要請に日本政府が配慮したからです。また、少し前のニュースですが、ある中学校の社会のテストで中国のことを「支那」と書いた答案が×にされたということがあったそうです。その理由が「支那は差別用語に当たる」ということだそうです。個人的な意見としては、正式名称が『中華人民共和国』である以上、それに従うべきだと思いますが、この「支那は差別用語」という理由はいただけません。『支那』というのは地理学的な呼び方で、差別的な要素はありません。英語では中国のことを『China』と書きます。これは『シナ』から来ています。この教師の基準からすれば、『China』という英単語も差別用語になるはずですが、それには文句を言わないのでしょうか?中国を英語で書けば『The central country of the world』となるはずですが、そうはなっていません。自分で「中国」と名乗るということは、相手に対し「あなたは世界の中心です」と言わせるということです。欧米人からすれば、「それは少し厚かましいでしょ!」ということです。東シナ海という呼称も世界で定着しています。

 そうなると、逆に、なぜ中国は『中国』というのか、疑問に持たれる方もいるのではないのでしょうか?これは読んで字のごとく、「この地が世界の『中』心の『国』」という意味だからです。中国には古来から『中華思想』とよばれる「中国が宇宙の中心であり、その文化・思想が神聖なものである。この中華の地は世界の中心であり、花開き、周りは野蛮人ばかりである。」という思想があります。そして中華以外の地は「四夷(東夷、北狄、西戎、南蛮)」と呼び、差別してきました。かつては日本や朝鮮もこの東夷(中国の東にあるから)に含まれていました。この『夷』というのは、簡単に言えば「虫けら」という意味です。しかし、この『夷』という言葉には見覚えがあります。『征夷大将軍』、『尊皇攘夷』、昔の北海度は『蝦夷』、あるいは『南蛮貿易』というように、日本人も外人に対し同様に差別的な表現を使用していました。

 日本は西暦57年頃、奴国の王が中国(漢)に使いを送り、有名な『漢委奴国王』という文字の刻まれた金印を受け取りました。また、その約200年後には、日本の邪馬台国の女王卑弥呼が、中国(魏)に使いを送り、『親魏倭王』という文字の刻まれた金印を受け取りました。この金印は「お前を中国の皇帝の従順たる僕たる王として認めてやる」という意味です。あまり知られていませんが、「皇帝」「と「王」は違います。王は皇帝の僕です。各国の王は皇帝に忠誠を誓って献上品を捧げ、その見返りに皇帝から安全を保障され進んだ文化を教えてもらうことができました。これを『柵方体制』と言います。ちなみに、中国は自分の権威を高めるため、周辺国に敢えて差別的な表現をしてきました。『卑弥呼』、『卑しい』、あるいは『邪馬台国』、『邪悪な馬の台形の国(中国では円が美しいとされています。)』。これは諸説ありますが、日本が『和(わ)』国と言ったところ、「はぁ?お前らごときがなぁにが『和』だ!『倭(わ)』で十分じゃ。」となった(『倭』というのは中国語で「醜い姿」という意味です。よく韓国人が日本を差別的に表現するときに『倭猿』と言います。)、あるいは『大和王国(やまとおうこく)の日御子(ひみこ)(=アマテラス説有り)』と言ったろころ、「生意気な!お前らは『邪馬台国(やまたいこく)の卑弥呼(ひみこ)』で十分じゃ。」となったという説があります。ちなみに『朝鮮』というのも蔑称です。

 つまり、日本もかつては中国の属国であったということです。しかし、数百年たって「日本は中国から独立すべき!」として中国に対して独立宣言をした人が出ました。聖徳太子です。私と同世代の人ならご存知かと思いますが、あの有名な『日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙無しや』という一文です。内容を簡単に言えば、「俺は日の出の勢いの国の皇帝(皇帝を天子と言います)だけど、沈みかけの太陽のような落ち目の国の皇帝さんに挨拶しとくわ。調子どうよ?」という意味です。タメ口です。「俺たちはもうお前らの子分じゃない。」ということです。事実上の日本の独立宣言です。この国書を読んだ中国(隋)の皇帝、煬帝は激怒しましたが、日本に攻め入ることはできませんでした。当時の中国の造船技術では流れの強い日本海を渡って攻めることはできなかったため、朝鮮半島を通って日本に攻めるしかありませんでした。しかし当時は朝鮮半島の北部に強力な高句麗という国があったため、隋は高句麗を攻めなければなりませんでした。こうして隋と高句麗は戦争になりました。当時の朝鮮半島は3国分裂状態で、北の高句麗が南西の百済や南東の新羅より強く、日本の同盟国である百済はやや劣勢でした。しかしこの聖徳太子の国書によって、日本の独立を宣言すると同時に、隋と高句麗を潰しあわせることで百済の援護射撃をしたわけです。この『日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙無しや』という一文も、教科書から削除されました。政治的な配慮によるものであるのは明らかです。なお、韓国のメディアはよく日本の天皇のことを「日王」と表現しますが、これは正確ではありません。日本は柵方体制に入っていないのですから「天皇」と表現すべきなのですが(一部のメディアは「日帝」と表現しています)、韓国は自分達がずっと中国の属国であったというコンプレックスから決して「天皇」と表記していません。

 織田信長が比叡山焼き討ちをしたのは有名ですが、なぜ信長が焼き討ちをしたのは知っている人はあまりいません。なので、比叡山焼き討ちと聞いて、子供達はガンジーのような無抵抗のお坊さんたちを焼き殺したというような勝手なイメージを持ち、「信長はなんて酷い奴!」と誤解されているのが現状です。信長がなぜ比叡山焼き討ちをしたかと言うと、比叡山を含む当時の宗教団体がろくでなしの集団だったからです。当時の宗教団体ははっきり言ってヤクザです。僧の格好をしているものの武器を携え(これを僧兵と言います。あの弁慶も僧兵です。)、下山しては庶民を脅し場所代や金品を脅し取り、女を買いあさり、関所を勝手に設けては通行人から勝手に通行料を巻き上げていました。そして対立する宗派とはしょっちゅう抗争を繰り返し、何万人もの死者を出していました。そしてその力が強大だったため、幕府も大名たちも権益で結びついて宗教団体の横暴を事実上黙認していました。今でいうところの既得権益層です。何もしなくても勝手に金が入ってくる、だから死んでも権益を手放さない。苦しむのは庶民だけ。いつの時代も、世の中を変えたくてもこういう既得権益層がいるから世の中が変わりません。他の大名たちが宗教団体と結びついてうまい汁を知っている中、ただ一人信長だけは「本来人を救うべき宗教が庶民から暴利をむさぼり自堕落な生活を送るとは何事だ!こいつらを何とかしなければ日本は変えられん!」という信念の下、武装した宗教団体を叩き潰していったのです。これを「政教分離」といいます。実は、世界広しといえど、政教分離を完全に実現できたのは歴史上2人だけです。足利義教と織田信長だけです。しかし教科書にはこういう背景が書かれていません。現在も残っている宗教団体がクレームをつけるからです

 長々と書きましたが、何が言いたいかというと、教科書というのは政治的影響を受けやすいということです。好き嫌いは別にして、事実は事実としてきちんと伝えるべきですが、それを「恥」と考える人たちが「書くな!」と圧力をかけるのです。そして一番大事なところが政治的事情によって伏せられてしまっているのが現状です(そして歴史以上に必要なことが伝えられていないのが公民です。公民に関してもいずれ書きたいと思います)。また、歴史は過去の事実に関するものなので、人によって解釈が異なります。結果として、歴史の教科書は単なる事実の羅列に終わってしまい、ストーリーとしての面白さを殺してしまっています。歴史を楽しむにはストーリーのあるものを読むことをお勧めします。一番良いのは漫画です。漫画といっても、小学生向けの漫画ではなく、人間の欲望があからさまに書いてあるものが良いです。最近のおすすめは『天智と天武』です。書物であれば、受験用なら竹内睦泰さんの『超速!』シリーズ、あるいは井沢元彦さんの『逆説の日本史』シリーズなどがおすすめです。

英単語の重要性

 何度も同じことの繰り返しで申し訳ないですが、それでもやはり強調しておかなければならないのが基礎の重要性です。そして英語における基礎とは英単語です。学校から出された大量の長文読解の問題をこなしているにもかかわらず英語の成績が伸びない、そういう人はたいてい英単語を覚えていません。英単語を覚えないまま長文読解をするから時間がかかり、かつ知らない単語だらけの中で文章を読むから疲れも倍増し、しまいには勉強意欲を喪失してしまうという悪循環に陥ります。例えば、次のような文章があります。

"Thousands of barns collapse or are destroyed every year. The National Trust for Historic Preservation, an organization that works to save historic places in the United states, says this represents a significant loss to the nation's rural heritage."

英語の成績の良くない高校生が覚えていないのが下線部のような単語です。この状態で日本語訳をすると、

「毎年、何千もの●●が●●し、あるいは破壊される。歴史的●●のためのナショナルトラスト、アメリカ合衆国内の歴史的な場所を保存するために働く●●は、これは国の●●の●●にとっての●●な損失を●●している。」

となります。この状態で問題が解けるわけがありませんし、分からない単語の意味を考えないといけないため非常に疲れます。逆に、単語の意味さえ分かれば、文法を覚えていなくとも、

「何千もの納屋、崩壊、破壊、毎年、歴史保存のためのナショナルトラスト、アメリカ、歴史的場所を救う、表す、重大な損失、田舎の遺産」

これらの単語を知っているだけで、「ああ、毎年大量の納屋が破壊されているんだけど、なんたら協会によれば、それは国にとっては重大な損失なんだな。」ということが容易に理解できます。最優先すべきは先ずは英単語、他は後回しでいいのです。

 私は高校時代は落ちこぼれでした。そんな私が英語を得意になれたのは、中高時代にお世話になった高橋志学塾の塾長のおかげです。この塾では毎回英単語のテストを100問近く10セット、全部で1200語くらいでしょうか、それを毎週やらされました。どのセットから出題されるか全く分からなかったので、結局全部の単語を覚えていくようになりました。2時間の授業の30分くらいはその単語テストに費やし、その後は読解という流れでした。塾長曰く、「英語なんて、単語の意味知らんとどうしようもないやろ」とのこと。塾長は怒るとメチャメチャ怖い先生だったので、学校の宿題はほとんどしていませんでしたが、単語だけは必死で覚えました。その結果、今まで苦労していた長文がすらすらと読めるようになり、英語の成績がグングン上がりました。その後は熟語と文法、語法を固めたことで、高2の中ごろには英語の力がほぼ完成していました。学校の宿題はやっていかなくても授業中にすれば間に合いましたし、テスト1週間前にも英語だけは全く試験勉強をしませんでしたが、英語の成績だけは良かったです。特に業者の模試では、英語だけは常に順位が1桁台でした。結局、高2の中頃以降は英語の勉強はほとんどしていません。入試直前期に早稲田の過去問を一通りこなし、TOEFLの問題集を解いたぐらいです。決して自慢しているわけではありません。申し上げたいのは、単語さえ覚えれば英語なんて楽勝だということです。もし当時、学校が馬鹿みたいに出していた長文読解をクソまじめにやっていたら、決して英語の成績は上がらなかったでしょう。

 時代は変わっても、どの進学校も相変わらず長文読解ばかりさせます。別に長文読解が無駄とは申しませんが、優先順位を間違えてはいけません。英語の成績が悪い人は、まずは英単語「だけ」をしましょう。

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