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2015年10月12日 (月)

おすすめの歴史漫画

 よく保護者の方々からおすすめの歴史漫画を聞かれるので、簡単に紹介しておきます。作品によっては残酷な描写や性的な描写があるので、そこは自己責任でお願いします。基本的に横山光輝さんと安彦良和さんの作品はハズレがありません。あと、歴史関係なく、手塚治虫さんの作品は絶対に読んでおいた方がいいです。手塚さんは『鉄腕アトム』や『ジャングル大帝』など、子供向けの作品をたくさん描いた人と誤解されがちですが、もしそう思っている方がおられたら、是非とも『MW』や『きりひと賛歌』や下記の『ひだまりの樹』や『アドルフに告ぐ』などを読んでいただきたい。手塚さんが「マンガの神様」と評される理由がわかるでしょう。

 ●縄文・弥生時代

 ・◎『ナムジ』安彦良和(面白さ5/5、実用性2/5)…大国主命の生涯を描いた作品です。戦後のGHQ政策の一環で、神話時代の話はタブー化されましたが、そこをリアルに描いた作品です。なんかの賞をとりました。

 ・〇『神武』安彦良和(面白さ4/5、実用性2/5)…『ナムジ』の続編です。タイトルは日本最初の天皇『神武』ですが、神武天皇が主人公ではなく、神武に仕えるナムジの息子が主人公です。

・?『ヤマトタケル』安彦良和(面白さ?/5、実用性?/5)…未読ですが、安彦さんの作品なので間違いないと思います。

・?『卑弥呼ー真説・邪馬台国伝ー』リチャード・ウー・中村真理子…卑弥呼の成り上がりストーリーです。まだ1巻しか出ていませんが(2019年5月)、かなり面白いです。卑弥呼のクズっぷりが見所です。

●飛鳥時代

 ・〇『蚤の王』安彦良和(面白さ4/5、実用性2/5)…伝説の力士、野見宿祢の話です。一冊できれいにまとまっています。埴輪が作られるようになった理由が面白かったです。

・◎『日出処の天子』山岸涼子(面白さ5/5、実用性4/5)…講談社漫画賞を受賞した超有名作品です。主人公は聖徳太子です。眉目秀麗かつ頭脳明晰、おまけに超能力まで使える聖徳太子です。内容は政治的なものではなく、超能力者ゆえに母親から愛されずに育ってきた孤独と、同性愛者であることの苦悩が描かれています。

・?『聖徳太子』池田理代子(面白さ?/5、実用性?/5)…『ベルサイユのばら』の同氏の作品。『日出処の天子』と比べると、評判はあまりよくありません。

◎『天智と天武』中村真理子(面白さ5/5、実用性5/5)…ここ最近で一番面白かった作品です。ドロドロしていてかなり面白いです。性的描写はありません。

・〇『天上の虹』里中満智子(面白さ4/5、実用性5/5)…持統天皇が主人公の作品。正統派で真面目な作品。

・〇『女帝の手記』里中満智子(面白さ3/5、実用性5/5)…称徳天皇を描いた作品。上に同じ。

●奈良・平安時代

 ・◎『阿・吽』おかざきまり(面白さ5/5、実用性4/5)…今一番面白い作品です。最澄と空海が主人公です。かなり哲学的で、結構ぶっ飛んでいますね。

・△『応天の門』灰原薬(面白さ3/5、実用性2/5)…菅原道真と在原業平が主人公の作品ですが、この二人の探偵物語なので、歴史実用性はあまりありません。歴史的背景などはよく分かります。

 ・◎『あさきゆめみし』大和和紀(面白さ3/5、実用性5/5)…『源氏物語』を漫画化した超有名作品です。歴史ではなく古文での実用性が最強レベルです。内容は、頭脳明晰でイケメンで家柄も良い源氏の君が、あちこちの美女に手を出しまくる話です。男子はこれ読んでも「くそつまんねー!」と思うでしょうが、まあ我慢して読んでおいた方が良いです。

 ・〇『平家物語』横山光輝(面白さ3/5、実用性4/5)…横山さんらしい、正統派の漫画です。話が淡々と進みます。

●鎌倉・室町時代

・?『アンゴルモア』たかぎ七彦(面白さ?/5、実用性?/5)…元寇を描いた作品。未読ですが面白いらしいです。

・×『太平記』さいとうたかお(面白さ1/5、実用性2/5)…『ゴルゴ13』のさいとうたかお氏による作品。登場人物の顔の区別がつかないため、誰が誰だか分からなくなります。また、話も小難しいので、お勧めできません。

●戦国時代

・◎『徳川家康』横山光輝(面白さ5/5、実用性5/5)…山岡宗八の有名小説『徳川家康』を、巨匠・横山光輝が漫画化した作品です。題名は『徳川家康』ですが、織田信長、豊臣秀吉の生涯も余すことなく描かれています。

・〇『バガボンド』井上雄彦(面白さ5/5、実用性2/5)…吉川栄治さんの有名小説『宮本武蔵』を、『SLAM DUNK』の井上雄彦さんが漫画化した作品です。数多くの賞を受賞しています。歴史漫画としての実用性はあまりありませんが、人生訓が所々に散りばめられており、非常にためになります。ただ、絵が多すぎて話が全く進んでいません。

●江戸時代

 ・△『大奥』よしながふみ(面白さ2/5、実用性2/5)…男女逆転の大奥を描いた作品です(家光や綱吉が女で、妻が全員男ということです)。原作は読んでおらず、堺雅人さんのドラマで見た限りではそこそこ面白かったです。

 ・△『三河物語』安彦良和(面白さ4/5、実用性2/5)…『三河物語』を執筆した大久保忠教を描いた作品です。歴史漫画というよりは、江戸時代初期の社会状況がよくわかる漫画です。

・◎『お~い!竜馬』小山ゆう(面白さ4/5、実用性5/5)…武田鉄也原作の有名作品です。タイトルの通り坂本龍馬が主人公ですので、討幕派の視点で話が進みます。

・◎『陽だまりの樹』手塚治虫(面白さ5/5、実用性4/5)…天才・手塚治虫氏による傑作です。幕末を舞台に、真っ直ぐで不器用な一人の武士を描いた作品です。佐幕派の視点で話が進みます。

●明治・大正時代

・◎『王道の狗』安彦良和(面白さ5/5、実用性3/5)…文化庁メディア芸術祭を受賞した、安彦さんの傑作です。十九世紀末、刑務所を脱走した主人公が武田惣角や金玉均や孫文に出会い、「王道」に目覚めていくという話です。ラスボスは陸奥宗光です。

・〇『虹色のトロツキー』安彦良和(面白さ5/5、実用性3/5)…満州国を舞台にした作品です。ノモンハン事件が話の中心です。川島芳子や金日成や李承晩も少し出てきます。

・△『天の血脈』安彦良和(面白さ3/5、実用性3/5)…日露戦争から韓国併合までを描いた作品。途中までかなり面白かったのですが、終盤で失速。あのオチはないわ。

・△『ゴールデンカムイ』野田サトル(面白さ3/5、実用性3/5)…明治初期の北海道を舞台に、埋蔵金を探し求める元軍人の話です。歴史漫画というよりは、当時のアイヌ民族の暮らしが非常によくわかる作品です。

●中国史

・◎『史記』横山光輝(面白さ3/5、実用性5/5)…司馬遷の『史記』を漫画化したものです。有名エピソードばかり収録されているので、漢文での実用度がきわめて高いです。

・〇『項羽と劉邦』横山光輝(面白さ3/5、実用性3/5)…横山先生らしい正統派の作品です。

・〇『赤龍王』本宮ひろ志(面白さ3/5、実用性3/5)…『サラリーマン金太郎』の本宮さんが描いた『項羽と劉邦』です。ドラマチックで面白いですが、性的描写が多々あります。

・〇『三国志』横山光輝(面白さ5/5、実用性2/5)…『三国志』の正史を丁寧に描いた超有名作品です。面白いですが、三国時代自体テストに出ることはありませんので(「黄巾の乱」と「魏志倭人伝」くらいです)、実用性はありません。

・〇『蒼天航路』王欣太(面白さ5/5、実用性2/5)…『三国志』の悪役・曹操を主人公にした作品で、講談社漫画賞を受賞しました。横山さんの『三国志』に比べるとドラマチックな内容です。あと、結構哲学的です。儒家にケンカを売った合理主義者・曹操という構図です。話はかなり面白いですが、曹操が完璧すぎるので、正統派の『三国志』に慣れ親しんだ人には抵抗があるかもしれません。あと、性的描写が多々あります。

・×『天地を喰らう』本宮ひろ志(面白さ3/5、実用性1/5)…本宮さんの描く『三国志』です。面白いですが、すぐに終わってしまいました。ゲームの方がヒットしました(ゲームは面白かったです)。

・×『キングダム』原泰久(面白さ3/5、実用性2/5)…秦の始皇帝が中国を統一するまでを描いた作品で、主人公は奴隷から将軍まで上り詰めた少年です。話自体は面白いですが、展開がかなり遅く、だんだんとマンネリ化してきました。登場するおじいさん達がかっこいいです。

●西洋史その他

・×『ジャンヌ』安彦良和(面白さ2/5、実用性2/5)…タイトルの通りジャンヌ・ダルクをモチーフにした作品ですが、ジャンヌ・ダルクはただの一度も登場しません。ジャンヌの死後の話。あまり面白くありませんでした。

・〇『我が名はネロ』安彦良和(面白さ4/5、実用性4/5)…ローマ帝国の暴君ネロを描いた作品。暴君の実像に迫った作品です。

・×『イエス』安彦良和(面白さ2/5、実用性2/5)…タイトルの通りイエス・キリストをモチーフにした作品です。正直あまり印象に残っていません。

・◎『アドルフに次ぐ』手塚治虫(面白さ5/5、実用性1/5)…ナチス時代を背景に、3人のアドルフを中心に描いた作品です。一人はアドルフ・ヒトラーで、ほとんど登場しません。幼い頃に親友同士だったドイツ人のアドルフとユダヤ人のアドルフが、ナチスの洗脳によってお互いに憎み殺し合うようになる過程が描かれています。実用性はあまりありませんが、傑作です。

・◎『ベルサイユのばら』池田理代子(面白さ5/5、実用性4/5)…超有名作品で、宝塚でも何度も上演されています。フランス革命期のフランスが緻密に華麗に描かれています。数年前にサンテレビで再放送されていました。

・〇『女帝エカテリーナ』池田理代子(面白さ3/5、実用性4/5)…ロシアの女帝エカテリーナ2世の生涯を描いた作品です。ドラマチックに簡潔にまとめられています。世界史向け。

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