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2017年1月

2017年1月 1日 (日)

ゲーム・スマホの弊害について

 今まで様々な生徒を教えてきましたが、成績の悪い生徒に共通しているのは、長時間ゲームやスマホ(ネット)ばかりしているという点です。私はその親御さんたちにゲームやスマホを処分するよう伝えますが、ほとんど実行してもらえません。実際のところ、親御さんたちにはゲームの危険性が全く認識されていない印象です。「子供がゲームやスマホばかりして全く勉強しない!」それでお悩みの親御さんたちにはぜひ、精神科医である岡田尊司さんの新書『インターネット・ゲーム依存症 ネトゲからスマホまで』、あるいは『脳内汚染』(こちらは古い版になります)を読んでいただきたい。

 以下、内容を簡単に紹介します。ゲーム(あるいはスマホ)をすると脳内で大量のドーパミン(達成感を味わったり、喜びを感じた時に分泌されるホルモン)が放出され、その量は覚せい剤を使用したときに匹敵するそうです。そのため交感神経が活発になり、夜眠れなくなります。また、ドーパミンの大量放出の結果、ドーパミンの生成に大量のエネルギーが消費されるため(要は「疲れる」ということ)、結果、勉強において注意力や集中力の低下、記憶力が著しく低下します。また、ドーパミンを大量に使用すると、脳に耐性ができてしまい、より多くのドーパミンがないと脳が働かなくなってしまいます(サイコパスと同じ脳の状態です)。要するに、ゲーム以上の刺激のあるものでないと、何をやっても楽しく感じられなくなってしまうのです。そして楽しく感じられない状態が続くことにより、鬱や無気力が生じてしまいます。中には自殺するケースもあるそうです。

 これだけゲームとスマホの危険性が明確であるにもかかわらず未だにその認識が浸透していないのは、テレビ局(正確には、NHKを除く民放)に原因があります。ゲーム会社やスマホ会社はテレビ局に莫大なCM料を払ってゲームやスマホを宣伝します。その結果、テレビ局はスポンサーであるゲーム会社やスマホ会社に不利益な情報を流さないように配慮します。「スポンサー様の不利益な情報は流さない」テレビのこういう姿勢はゲームやスマホに限った話ではありません。かつてテレビ局は、法定利息のグレーゾーンを悪用して儲けていた金融業者(いわゆるサラ金)を散々批判していましたが、その金融業者がスポンサーになった途端に批判を一切やめ、それらの金融業者のCMを流しまくりました。最高裁で「グレーゾーンは違法」という判決が下されたことで債務整理(過払い金払い戻し)が一斉に行われ金融業者はどんどん潰れていきましたが、そのCMをバンバン流していたテレビ局は全く責任を取りませんでした。テレビ局はそういうものだと認識しておかねばなりません。

 「でも先生、この子、ゲームをさせると落ち着くんですよ~」たまにこう言う親御さんもおられますが、これって、ヤク中の子供に「でも先生、この子、クスリ打ってあげると落ち着くんですよ~」と言っているのと同じことです。あるいは「でも先生、ゲームとネットを禁止したら、今度はテレビばっか見るんですよ!」「そしてテレビを禁止しても、今度はマンガばっか読むんですよ!」こういう親御さんもおられますが、全然かまいません。ゲームやスマホの弊害の大きさに比べれば、テレビや漫画の方がはるかにマシです。こうやって徐々に害の少ない遊びに代えていけばいいのです。

 問題なのは、親が子供がゲームやスマホばかりしていることをまったく認識していない場合があることです。「自分の部屋じゃないと勉強に集中できない」こう言って自分の部屋にこもっている子供、成績が酷い状態であれば、まず疑ってかからねばなりません。真面目に勉強しているのに成績が酷いなんてことは通常はあり得ません。現在のゲームは小型化し、ネットもスマホやタブレットなどの小型通信機器を利用すれば、親に隠れていくらでもプレイできてしまいます。親がそれらを隠しても、子供は全力でそれを探し出し、こっそりとやっているのです。自分の子供を疑うのは嫌でしょうが、隠しカメラでも仕掛けて子供が実際に自分の部屋で何をしているのかを確かめねばなりません。

 「ゲームやスマホが悪いんじゃないよ。やり過ぎるのは自己責任だろ?」そう仰る方もおられるでしょう。私もその意見には同意します、成人に限って言えば。子供にそこまでに自制心があるでしょうか?ゲームやネットは悩み事をすべて吹き飛ばしてくれます。ゲームやネットで現実逃避し続け、そしてそのまま高3を迎え、否が応でも将来と向き合わざるを得なくなり、そこで初めて自分自身の絶望的な現状を認識し、精神的不調、ひいてはうつ、自殺ということになりかねません。他人からすれば「自業自得だろ」の一言で済みますが、親にしてみれば自分の子供が将来に絶望して苦悶する姿は見るに堪えないでしょう。そうなる前に、親が行動しなければなりません。子供を守れるのは親だけなんです。

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