中学受験

2016年6月10日 (金)

志望校選びについて 中学受験編

 志望校選びについて述べる前に。まず大前提として、家で全く勉強(宿題)をしない子供は、有名中学に進学するのは、たとえ合格できたとしても、やめておいた方がいいです。真面目でかつ成績の良い子供の親御さんは「え?そんな家で全く勉強(宿題)をしないような子、いるの?」と思われるかもしれませんが、いるんです、たくさん(そしてそのほとんどは男子です)。家で全く勉強しなくても、塾で授業を受け、家庭教師あるいは個別の授業内で宿題を消化し、かつ時間が許す限り復習もすれば、それ程高望みしないのであれば、何とか引っかかるのです(親の経済力と子供の学力との関係云々はおそらく、このあたりにあると思います)。しかし中学に上がれば、科目数も宿題の量も増え、家庭教師や個別の時間だけでは宿題を消化することすら困難になってきます。そういう子供がカリキュラムについていけず落ちこぼれるのは、火を見るよりも明らかです。「とりあえず子供を進学校に放り込んでおけば、あとは学校が導いてくれる」と勘違いされている方が多いですが、学校からすれば、そういう家で全く勉強しないような子供に来られると正直迷惑でしょう。とりあえず合格することを考えるだけではダメで、合格した後、子供がそこでやっていけるのかということも考えなければなりません。勉強に対する自主性と自律性が身に付けられなかった時点で負けです。

 次に、志望校選びについて。学校の偏差値が高いからといって、必ずしも本人にとって良い学校とは言えません。灘なのに関関同立にしか受からなかった人もいれば、白陵から東大に受かる人もいます。逆に、白陵なのに兵庫県立大にしか受からなかった人もいれば、淳心から京大に受かる人もいます。学力が逆転するのは、その生徒がその学校のカリキュラムのレベルや内容、校風に合う・合わないという要素が大きいためです。カリキュラムの難易度はどれくらいのレベルなのか、どれくらいの速度でカリキュラムが進むのか、基本重視なのか演習重視なのか、予習先行型なのか教科書を使ってじっくり進めていくのか、落ちこぼれに対する救済策はあるのか、学校の雰囲気はどうなのか、その辺りをしっかり検討して、その学校が子供に合うか合わないかを見極めねばなりません。合格実績だけで判断して学校を選ぶと、入学後に後悔することになる可能性大です。入学して落ちこぼれる人に限って「宿題の量が多すぎる」「カリキュラムの進行速度が速すぎる」と不平・不満を口にしますが、学校からすれば、生徒は「それ」を承知で入学してきた「はず」なので、文句を言われる筋合いはありません。そこは選ぶ側の自己責任になります(「合わない」と思ったら、さっさと辞めた方がいいです)。もっとも、学校側も後になって文句を言われないように、カリキュラムの進度や定期テストのサンプル問題、使用教材など、具体的な情報をもっともっと公開するべきでしょう。

 また、場所も重要な考慮要素です。体力に余裕のある男子はともかく、女子の場合、遠い場所まで通学するのは体力的にかなりきつくなります。特に岡山方面だと、平日は通学だけで疲れ果ててしまい、家で全く勉強できないというケースも少なくありません。子供を岡山方面に進学させる場合は、寮に入れることも検討しておいた方が良いです。

 私個人としては、基礎と基本をしっかりとやってくれる学校が良いと思います。よく目にするのは、上ばっかり見て足元をお留守にするパターン。0から1を生み出すのは大変ですが、1を2や3に増やすのは容易です。その辺りをしっかりと理解できている学校なら間違いないでしょう。あと、あくまで私の経験上の話ですが、本命校にギリギリで引っかかった子供や補欠で入った子供はおおむね入学後も苦労しており、カリキュラムが「キツイ」と言っています。対して、本命校に落ちて滑り止めの学校に入学した子供はおおむね順調に学力を伸ばしており、学校を「楽しい」と言っています。

2016年4月29日 (金)

中学受験の本質

 中学生用の問題集を見ると、どの科目であれ、中学受験の問題と全く同じ問題が多々あるのに気づきます。社会と理科は中学とほぼ同じ、国語も古典がないだけで内容はほぼ同じです。算数に関しては、中学や高校の範囲を算数を使って解くのが一般的ですが、「中学・高校の解法(数学)を使ってはいけない!」わけではありません。昔の塾は「使ってはいけない!」「使うと0点になりますよ!」と平気で嘘をついていましたが、インターネットの普及によって「中学・高校の解法(数学)を使っても全く問題なかった」という事実が広まり始めると、「禁止されているわけではないですけど…」と態度を変えました。塾からすれば、「使ってはダメ!」としておかないと経営に響いたからでしょう。数学を学びたいのであれば、中学生向けや高校生向けの塾に行けば済む話だからです。もっとも、数学が算数より優れているというわけではありません。抽象度の高い数学よりも、具体性のある算数の方が分かりやすいという子供の方が一般的でしょう。要は子どもにとって使いやすい方を使えばいいだけの話です。ただ、嘘はいただけませんね。

 昔は、現在のような中学受験専門塾はありませんでした。そんな時代に、中学や高校で習う範囲から出題される問題に、当時の子供達はどうやって対応していたのかというと、中学や高校の教科書や問題集を使って、先取り学習をしていたのです。結果的にそういう子供達が中学受験を突破し、良い大学に入って良い会社に入って成功する、そういうロールモデルが形成され、そしてそれに憧れる家庭が増加しました。そしてそういう家庭の要望を満たすべく、私立が乱立し、それに伴い中学受験専門塾が台頭しました。優れたマニュアルで数多くの子供達に可能性を広げたのは間違いなくそれらの塾の功績です。しかし、中には子供自身よりも親の願望によって受験勉強を始めたという家庭もあり、合格できたもののカリキュラムについていけず、ドロップアウトするという子供が数多く現れ始めました。「名門私立に入れば、質の高い授業とカリキュラムで子供を導いてくれる」と思われがちですが、高いのはあくまで「レベル」であって、必ずしも「質」が高いわけではありません。実際、有名私立の生徒たちからはよく、「教師の言っていることがさっぱりわからない」「教師の言っていることが難しすぎて授業についていけない」という相談をされます(良い教師とは、難しい内容を簡単な言葉で説明できる人ですが、進学校におけるその認識のなさは今も昔と全く変わっていない印象です)。そういう場合でも、昔の子供達であれば、自分が入りたくて入ったのだから、それにくらいついていけたのでしょう。しかし元々そんなにやる気のなかった現在の子供達は気持ちが折れ、ドロップアウトしていきます。どの有名私立でも、下位層の学力はかなり悲惨な状況ですが、そういう実情はあまり知られていないようです。

 よく「公立中学はレベルが低い」と言われますが(よく学習塾はこう口撃しますが)、確かにレベルは低いですが、質が低いわけではありません。レベルが低いのは学力の低い子供達にも配慮しなければならないからであって、別に教師に高いレベルを教える技術がないわけではありません。試しに授業時間外に難しい問題を質問しに行ってみればいいでしょう。分かりやすく教えてくれるはずです。また、公立では教師は学力の低い子供達にも配慮して、なるべく平易な言葉で授業するため、生徒達はより良く理解することができます。私個人の経験で言っても、中学時代の教師達の授業が一番分かりやすかったです(一番分かりにくかったのが高校でした)。また、姫路は全体的にスポーツが強いです。例えば(白浜の)灘中学は柔道部が、夢前中はバレー部が全国大会の常連ですし、その他の学校も結構スポーツや文化部が強かったりします。公立だと、そういう名門クラブの英才教育が「タダ」で受けられます。そう考えると、公立が決して悪いとは思えません。

 たまに高校時代の同級生に会うと、みな口をそろえて「子供は私立に行かせたい」と言います。おそらく、高校に入ってからの「あの」急激な勉強のハイレベル化を経験し、「中学時代にもっと勉強させなければ、高校からが大変だ!」と考えているからでしょう。また、世代的にもまだヤンキーが多かったということもあり、「うちの子を変なのと一緒にさせたくない」という部分もあるようです。そういう同級生たちも、有名私立の下位層の学力の悲惨さを知れば考えを改めるかもしれません。公立の生徒は高校に進んでから壁にぶち当たり、そこで挫折するか、それを乗り越えるかしなければなりませんが、有名私立の生徒達はそれを中1段階で経験します。それを乗り越えられる生徒はいいですが、それができない生徒は6年間くすぶり続けます(そういう生徒はさっさと学校を辞めて公立に戻った方が良いと思います)。同級生たちには、そのリスクがあまり認識されていないようです。私立の底辺で6年間くすぶり続けるくらいなら、公立中学でしっかりと基礎・基本を固めて、かつ部活もガンガン頑張って体力も精神力も身に付けたうえで、それで高校で落ちぶれた方がまだマシです(高校で落ちぶれた人は高1からやり直せばいいですが、私立で落ちこぼれた人は中1からやり直さねばなりません)。公立は私立に比べて1年短い状況で大学入試に臨まねばなりませんが、基礎と基本が固まっていれば全く問題ありません。

 長々と書きましたが、私が言いたいのは要するに、中学受験の実質は飛び級だということです。難関私立は公立の勉強に満足できない子供が行くべきところです。小学校の勉強もままならない子供が行くべきところではありません。たとえ現在の成績が悪くても、子供に勉強を頑張る意志があり、かつ実際に塾や学校からの課題をきちんとしているのであれば、そのまま受験勉強を続けさせた方がいいでしょう。そういう子供は必ず伸びます。しかし、子供が家でまったく勉強していない状況(あるいはやったふりして答えを丸写ししている状況)であれば、さっさと受験勉強をやめさせた方がいいです。それが現時点でのその子の限界だったということです。そのまま無理やり受験勉強を続けさせると、その子は壊れてしまいます。そうなる前に、早めに撤退するべきです。

2014年10月11日 (土)

難関私立の落とし穴

 中高一貫の難関私立校に入学し、そのカリキュラムに従って有名大学に進学できる人もいれば、全くカリキュラムについていけず、浪人してやっと中堅レベルの大学に行く人もいます。後者のような落ちこぼれの生徒ですが、全く課題をしないような不真面目な人は論外として、学校から出された課題は一応はこなし、テスト前にもそれなりに勉強しているにもかかわらず、成績がいまいちな人もいます。あの難関試験を突破した天才たちがなぜこんなことになるのか?私立には落とし穴があります。その辺りをしっかりと認識しておかねばなりません。

①カリキュラムが早すぎる&課題が多すぎる…私立は公立よりもかなり速いスピードでカリキュラムが進められます。高校の単元だと上位公立高校とそれほどスピードは変わりませんが、中学時代は公立中学よりも難しい内容を、公立の2倍近い速度でカリキュラムが進められます。それに伴い、学校から大量の課題が課されるため、結果、復習にかける時間が少なくなり、理解が不十分なまま次の単元に進む羽目になります。理解を不十分にしたところに戻って固めようにも、カリキュラムが先にどんどん進んでしまうため、また、大量の宿題に時間がとられるため、戻れません。こうしてドツボにはまっていきます。

②基本を軽視している…これは全ての私立に当てはまることではありませんが、学校によっては有名大学に合格させるという意識が強いためか、授業では基礎や基本にあまり力を入れず、大量の宿題で基礎と基本を固めさせ、授業では演習をメインにしているところもあります。私の下に依頼に来る、成績の芳しくない私立の生徒は、驚くほど基本が理解できていません。そういう生徒に基本を説明してみると、真綿が水を吸うように吸収してくれます。自分で教科書を読んでどんどん勉強をするような子供は別として、実際には基本から教えて欲しいという生徒の方が多い印象です。

③運動時間が少なすぎる…ほとんどの私立はスポーツがあまり盛んではなく、「勉強の妨げにならない範囲で」短時間しか部活動をさせません。これは極めて愚かしいことです。本来、人間は勉強だけをするように造られていません。運動をしなければ体力はつきませんし、ストレスも発散できませんし、集中力もつきません。勉強だけをしていると必ずおかしくなります。成績を上げさせたければもっともっと運動をさせるべきです。

④社会と理科を軽視している・・・「五教科平等」の公立とは異なり、私立では国語・数学・英語を主要三教科として扱っています(個人的には「そもそも英語って主要か?」と思います。英語は実用性が高い反面、ただのコミュニケーションツールにすぎません。学問としては本質的ではないという印象です)。たとえ学校側に社会と理科を軽視する意図はなくとも、カリキュラム自体が主要三教科を重視している結果、生徒達に社会と理科を主要三教科より下に見る意識を芽生えさせてしまいます。私立の生徒の社会・理科に対する意識は、公立の生徒の副教科(保健、技術・家庭、美術、音楽)に対する意識に近いものがあります。「社会と理科は後で何とかなる、とりあえず主要三教科を」などと思っていたらとんでもない大間違いです。「社会なんて覚えるだけ」そう言って、結局最後まで覚えられないままの生徒は少なくありません。

 以上述べたことはあくまで相対的なものであり、成績の良い人にはまったく当てはまらないことばかりでしょう。対して成績の悪い人は、自己分析をしっかりしなければなりません。今やるべきことを絞り、たとえそれが学校のカリキュラムに合っていなくとも、それを優先させるべきです。いろいろと試してみて、それでもついていけないようであれば、その学校に合わなかったのです。自分のレベルにあった学校に転校するべきです。

2013年7月20日 (土)

淳心学院中学・高等学校について

 私が小学生の頃は淳心の生徒はまさに「エリート」という印象で、受験生も「淳心が本命で白陵は滑り止め」というのが共通の認識でしたが、今や立場は逆転してしまいました。私が中・高と通っていた塾の同級生のうち(知っている限り)3人が淳心を受験し、1人だけ合格しました。合格した甲君は「友達と離れたくない」という理由からそのまま公立中学に進学し、西高から現役で京大の工学部に合格しました。不合格だった乙君は西高から一浪したのち阪大の工学部に、丙君は西高から現役で京大の法学部に合格しました。昔はそれぐらいハイレベルな子供達がしのぎを削っていましたが、今はそこそこ勉強すれば入れるようになってしまいました。家庭教師の依頼もほとんどは「淳心は滑り止め」で、「本命が淳心」という生徒は稀です。失礼なことを書きましたが、私の知る限り、淳心の教育の質は昔から現在に至るまで非常に高いものです。淳心の優れているところは基礎と基本を重視しているところです。進学校に多いパターンとしては、基礎と基本は生徒に任せて、応用的な部分を授業で取り扱っていくというものですが、淳心はそういう手を抜きがちでかつ軽視しがちな基本をしっかりと固めてくれます。

 以前、ある兄弟を教えていました。上(以下A)が岡白で下(以下B)が淳心ですが、Aが中2の時に受けたZ会の模試の問題を中2になったBに解かせたところ(国、数、英3教科300点満点)、Bの方がAよりも100点以上点数が高かったです。Aは岡白で大量の宿題に振り回される日々が続いており、また片道1時間の電車通学のせいで勉強時間が確保できないというデメリットも相まって、基本が全く身についていませんでした。それに対しBは、難問は間違えていましたが、基本が固まっていたため基本問題の取りこぼしがほとんどありませんでした。また、淳心まで自転車で10分で通学できる距離なので、タイムロスも疲労蓄積もありませんでした。中学入学時点での学力はAの方が圧倒的にBより上でしたが、あっという間に逆転してしまいました。偏差値が高いからと言って一概に良いとは言えない例です。

 淳心の校風は、一言で言えば自由です。勉強するのも自由ですし、サボるの自由です。結果、上位層と下位層とで学力差が極端に広がります。白陵と比較すると、宿題の量はそれほど多くはありません。また、テストの回数も比較的少ないため、「テストがあるから勉強する」という強制の契機が少なくなります。テストの問題も比較的簡単ですが、「ここは絶対に抑えていないといけない」そういう問題を精選して出題している印象です。進学校にありがちな奇をてらった変な問題はほとんど見かけません。部活動も自由です。同じ陸上部員でも、死ぬほど練習して大会で実績出しまくっている子供もいれば、たまに顔を出してリフレッシュ程度に運動してさっさと帰ってしまう子供もいます。良くも悪くも自主性を尊重している印象です。ただ、生徒は自分の意思で自由に時間を使っているので、生徒の学校に対する不満を耳にしたことはほとんどありません。

 出された宿題を真面目にやっていれば相当力がつくはずなのですが、ここ数年の大学進学実績が芳しくないのはおそらく、家で全く勉強しない子供がたくさん入学してくるようになったからでしょう。中間層がみな白陵に進学し、また少子化とも相まって、結果、家で全く(あるいはそれほど)勉強しない子供でも合格できるようになってしまった印象です(塾で授業を受け、宿題は家庭教師か個別の時間内で消化しかつ時間の許す限り復習すれば、他の時間で遊んでいても、以前の入試問題であれば引っかかってしまったのです)。当然、そういう子供はカリキュラムについて来れません。ヴェリタスとカリタスの制度導入に伴い入試問題が急に難しくなりましたが、それはおそらく、そういう家で全く勉強しないような子供を最初から排除するためでしょう。宿題の量も以前と比べてかなり増えてきました。これからどう変化していくのか、とても楽しみな学校です。

2013年7月16日 (火)

白陵中学・高等学校について

 白陵は昔から医学部への進学率が非常に高いことから、医師を目指すご家庭の人気が非常に高い学校です。ハイレベルな内容のカリキュラムがハイペースで進められ、それに伴い大量の宿題が出されます。このカリキュラムについていける生徒は東大であろうが医学部であろうがどこでも合格できますが、一度でもつまづいた生徒は悲惨な6年間を送ることになります。カリキュラムについていけず、途中で自主退学する生徒も少なくありません。勉強版「虎の穴」といった感じです。

 白陵は灘・甲陽・神戸女学院落ち、あるいは灘・甲陽・神戸女学院志望からの安全策で入学してきた生徒が比較的多く、カリキュラム自体、そういう生徒達(勉強に対する意識と耐性が非常に強い生徒達)のレベルに合わせて設定されているという印象です。そういう生徒達と本命で白陵に合格した生徒達とは基礎学力が大きく異なります。本命で白陵合格の生徒達は、そういう生徒達と競争するという意識をもって勉強しなければなりませんし、そういう生徒達から刺激を受けなければなりません。

 白陵の定期テストは基礎・基本だけが理解できているだけでは点数は取れません。基礎・基本はできて当たり前、上位を狙うには応用レベルもしっかりとこなさねばなりません。基礎・基本は大量の宿題で固め、授業では専ら応用的なことを教えている印象です。「基礎・基本は自分でできますんで」という人向けの学校であり、「基礎・基本からみっちり教えてほしい」という人には不向きな学校と言えます。「この子、頭はいいんですけど、家では全然勉強しないんですよ~(←ほとんど男子です)」こういう人は最初から白陵を目指さない方がよいでしょう。仮に入学できたとしても、真っ先についていけなくなります。

 もし白陵に入学したのであれば、特に部活を決めていないのであれば、是非とも柔道部に入部することをお勧めします。白陵は私立の中では比較的部活動に熱心な印象ですが、特に柔道部は素晴らしい。兵庫県の中学柔道界は現在小野と(姫路の)灘の二強時代で、いずれも全国レベルの大会で優勝を重ねています。全国のエリート小学生を寄せ集めている東京都を除けば、兵庫県が全国で一番レベルが高いと言っても過言ではありません。その兵庫県の中でも、特に白陵のいる東播では過去に宝殿・荒井・小野が全国制覇を果たしており、全国で最激戦区といえます。その東播で、少ない練習時間でそれなりの実績を上げているのはかなり凄いんです。柔道をすれば体力がつくだけでなく人間的にも大きく成長できますので、是非ともお勧めします。白陵に限らず、私立はどうしても運動時間が少なくなりますので、柔道でなくても、何かしらスポーツはした方がいいと思います。

2013年7月 8日 (月)

中学受験勉強を始める前に

●私立に進むメリット

 中学受験勉強を始める前に一言。中学受験勉強で学ぶ内容は、大まかに言えば公立中学で習う範囲です(場合によっては高校の範囲も)。小学生のうちに公立中学生の範囲を済ませておくと、入学後は最初の2年間で中学のカリキュラムを終わらせ(公立中学では教えない範囲も教えます)、中3から高2の間で高校のカリキュラムを終わらせ、残りの1年を余裕をもって大学受験対策(主に演習)に時間を割くことができます。上位公立高校での3年間のハードさを考えると、このメリットはかなり大きいです。

 また、近年は経済格差の拡大により、子供を私立に進学させる余裕がなくなったご家庭が増加した結果、公立高校入試の競争が激化しました。昔と比べて荒れている中学校がほとんどなくなったことも影響していると思われます。私の中学時代であれば西高に入学できるだけ学力のある子供が市姫に進学し、東高に入学できるだけの学力のある子供が飾西に進学しているような状況です。私立に進めば、その競争を避けられます。昔は公立の勉強に満足できない子供を私立に進学させている印象でしたが、最近は高校入試での競争を避けるために子供を私立中学に進ませるというご家庭も増えています(私個人としては、そういう目的で私立中学に進ませるのはあまりお勧めできませんが)。

 他のメリットとして、いじめが少ないことが挙げられます。私立であればいじめをした子供を退学させることができます。学校も「いじめがあった」なんて事実が広まれば経営に直撃しますので、全力でいじめに対処してくれるでしょう。

●中学受験勉強について

 ただ、正直なところ、大学受験・高校受験・中学受験の中で、中学受験が一番難しいと思います。精神力も体力も未成熟な状態で、公立中学生が1週間丸1日かけて学ぶ内容を、塾で1日1~2時間を週3回ほど、しかも中学生の教科書よりも薄っぺらいテキストを使って学ぶのですから、理解が不十分になるのも当然です。さらに、中学校で習う数学(-の考え方や文字式・方程式など)を利用できないという制限もあります。塾のカリキュラムについていけない子供がたくさんいますが、むしろついていけなくて当然だと考えた方がいいでしょう。子供に結果を求めるのは酷です。たとえ子供の成績が悪くても、子供が「授業自体は楽しい」と感じ、かつ宿題もきちんとしているのであれば、受験勉強を続けさせた方がいいと思います。たとえ不合格に終わったとしても、中学受験勉強で学んだことは後々大いに役に立ちますから。しかし子供が全く宿題をしないような場合、早めに撤退した方がいいです。特に、漢字と計算をしない子供、汚すぎて判別できない字を書く子供、これは論外です。仮にそういう状態で子供に受験勉強を無理強いすると、子供はますます勉強嫌いになります。公立の中学で、ゆっくりと、確実に、自分のペースでやっていけばいいんです。公立からでも有名大学に行く生徒は実際いくらでもいるのですから。

 なお、中学受験勉強を始める場合は、必ず子供自身にコミットさせてください。親はあくまで「こんな世界もあるけど、どうや?やってみるか?」という提示に留めておきましょう。親が勝手に中学受験勉強を決めてしまうと、後々トラブルの元になります。希望の学校に入学できたものの、いざ入ってみるとカリキュラムについていけず、全く勉強しなくなってしまったという場合、子供「俺は元々行きたいわけじゃなかった!」親「お前の将来のためやろうが!」子供「頼んでないやろうが!」親「じゃあ、やめんかい!」子供「今さら辞められるか!勝手に入れといて、無責任なこと言うなや!」という泥仕合に発展する可能性があります。子供自身が「私立に行って勉強したい!」とコミットしたのであれば、子供が入学後に勉強しないのは約束違反になりますし、子どもを退学させる理由にもなります。

●中学受験勉強は「した方がいい」

 「で、結局する方がいいの?それともしない方がいいの?」と問われれば、私個人の意見としては、「無理のない範囲で、した方がいい」と思います。中学受験勉強は結局、中学や高校の先取り学習に過ぎません。なので、どうせ後で勉強するなら、余裕がある時期にできるだけ早く済ませた方が後々楽です。ただし、中学受験以前に、学校のテストの点数すらろくに取れないという子供は、やめておいた方がいいです。

 なお、よく、「どうせ後から中学で文字式や方程式を習うのだから、中学受験の算数の勉強は無駄じゃないか」という意見を聞きますが、決して無駄ではありません。確かに方程式など数学を使うと秒速で解ける問題は多々あります。ただ、算数的な理解の仕方と数学的な理解の仕方は別物です。公立中学から上位公立高校に進学した生徒の多くが、数学で苦戦します。それは、高校で習う数学が、きわめて抽象的だからです。しかし中学受験で数列や互除法などの単元を具体性のある算数で理解しておくと、高校で数学的に学び直すときにより一層理解が深まります。この差はかなり大きいです。算数に限らず、中学受験で学んだ理科も、化学や物理で大いに役立ちます。決して無駄なんかじゃありません。

 あくまで私個人の経験ですが、人生で一番時間を無駄にしたのが小学生時代だったと思います。小学校は中学や高校と異なり、勉強やスポーツで競争がありません。努力する方向性も見つけられず、エネルギーをもてあまし、結構ストレスフルでした。加えて、「運動会の練習」といって毎日2時間ひたすら行進の練習だけさせられたり、毎朝校長のわけの分からない話を軍人みたいに直立不動で聞かされたりと、今の人生において何の役にも立っていないことを沢山させられました。授業も簡単過ぎるし話もつまらなかったので退屈で、かといって勝手に別の勉強をしたら「ちゃんと授業聞かんかい!」と怒鳴られました。こんなところで時間を浪費するぐらいなら、たとえ大変でも、もっと高いレベルの場所で自分を高める努力をすることに時間を割くべきです。

 子供時代に学ぶべきことは、知識や技術ではなく、何かに全力で頑張ることの充実感だと思います。この充実感を知っている人は、大人になってからでも何事にも頑張れます。残念ながら小学校ではそれを教えてはくれません。本気になれる「何か」を自分で見つけられた子供はその道を突き進めばいいですが、そうでない子供には、とりあえず中学受験勉強をさせてみても良いでしょう。決して損はありません。それで勉強をすることの充実感が得られれば最高です。

●塾選びに関して

 「どこの塾がいいですか?」これはもう、子どもに体験授業を受けさせて、一番良かったところにすればいいと思います。子供にどの塾が合うかは、その子供にしかわかりません。過去の合格実績だけで判断して塾を選ぶのは、やめておいた方がいいです。学力的にまったく合わないところで無理をさせても、いい結果は得られません。それよりも、子どもの学力に合ったところで、無理のない範囲で学ばせるのが、一番良い結果につながると思います。子供に無理をさせると潰れます。仮に無理をさせて合格できたとしても、中学ですぐについていけなくなります。

 なお、子供を塾に通わせずに独学させるか、あるいは親が教える場合、使用する教材は、昔からの定番である四谷大塚の『予習シリーズ』か、学研の『合格自在』がお勧めです。私個人としては、親にある程度の学力があるのであれば、まずは子供を塾に通わせずに、子供にテキストを読ませて問題を解かせてみて、分からないところを親が教える、という形にした方がいいと思います。というのも、これは公私を問わずですが、偏差値の高い学校になると、教科書レベルの基本的事項の理解は予習として生徒に任せて、授業では応用的な内容を教えていくというケースが多々あります。そういう学校に進学すると、否応なしに、自分で教科書を読んで理解していかねばならなくなります。塾で説明を一方的に聞くというスタイルに慣れてしまっている子供は、入学後、苦労することになります。そしていつまでも塾に依存することになります。なるべく早い段階で、自分で教科書を読んで問題を解いていくという習慣を子供に身に付けさせておいた方がいいです。