中学受験

2017年1月24日 (火)

中学受験における算数に対する誤解

 以前にも書きましたが、「中学受験では中学・高校の解法を使ってはいけない!」などということは決してありません。中学・高校の解法で解けるのであればそれで十分ですし、実際、中学・高校の解法を子供に教えている保護者の方も多いことでしょう。ただ、では「中学受験で学んだ算数的解法は無駄か?」と言われれば、決してそんなことはありません。コスパで考えれば一つの解法だけに集中した方がいいのでしょうが、一つの問題に対して算数的アプローチと数学的アプローチ、多面的に思考できる人の方が創造性があるのは言うまでもありません。特に算数的解法が役に立つのが数Aです。公立中学から高校に進学した生徒の多くが数Aを苦手としています。その抽象的な内容にとっつきにくさを感じるのは、西高の生徒といえども決して例外ではありません。対して、中学受験を経験した人であれば、数Aの内容は一度は解いたことのある問題ばかり、「ああ、あれね」という感じで、あとは算数的に理解していたものを数学的に理解し直すだけです。実際、公立中からの高校生に数Aの問題を算数的に具体的に説明すると、よく理解してもらえることが多いです。そういう点において、中学受験の算数的解法は無駄どころか、非常に有益です(そもそも全力で頑張ったことに、無駄なことなんて一つもありません)。そういう意味でも、やはり余裕がある人は、小学生時代に中学受験の勉強をしておいた方がいいです。

2016年6月10日 (金)

志望校選びに関して 中学受験編

 志望校選びに関して。まず大前提として認識しておかなければいけないのは、有名大学に行くためには公立の勉強だけでも十分だということです。公立だと高校時代にかなり頑張らなければなりませんが、中学までに基礎をしっかりと固めておけば何ら問題はありません。家で自主的に勉強できない子供は、有名中学に進学するのは、たとえ合格できたとしても、やめておいた方がいいです。とりあえず子供を進学校に放り込んでおけば、あとは学校が導いてくれると勘違いされている保護者が多いですが、学校からすればそういう子供に来られると迷惑でしょう。「とりあえず合格。その後のことは受かってから考えればいい」ではダメなんです。どの有名中学も高レベルのカリキュラムがハイペースで進められるので、家で全く勉強しないような人は必ず落ちこぼれます。「人に説得されて続けるようでは、どのみち続かない」(『3月のライオン』幸田八段)。自主性と自律性が身に付けられなかった時点で負けです。

 次に、偏差値が高いからといって必ずしも本人にとって良い学校とは言えないということです。灘なのに関関同立にしか受からなかった人もいれば、白陵から東大に受かる人もいます。逆に、白陵なのに兵庫県立大にしか受からなかった人もいれば、淳心から京大に受かる人もいます。学力が逆転するのは、その生徒がその学校のカリキュラムや校風に合う・合わないという要素が大きいためです。もっともこの校風というのも、各学校のパンフレットやホームページを見る限り、「子供の自主性を尊重して~」「子供の自立心を~」など抽象的なものばかり、結局は大学合格実績しか判断材料がありません(学校はカリキュラムの進度や定期テストのサンプル問題、使用教材など、具体的な情報をもっともっと公開するべきでしょう)。そしてこの大学合格実績も、最難関の一流校を除き、現役と浪人の内訳をホームページ上に公開していない学校がほとんどです。一見多くの合格実績を誇っているようでも、実際には有名大学の合格者の過半数が浪人生というケースもあり、こちらもあまりあてになりません。結局はその学校の生徒やその家族、あるいは卒業生からの口コミ情報が一番信頼できるでしょう。

 個人的には、基礎と基本をしっかりとやってくれる学校が良いと思います。よく目にするのは、上ばっかり見て足元をお留守にするパターン。0から1を生み出すのは大変ですが、1を2や3に増やすのは容易です。その辺りをしっかりと理解できている学校なら間違いないでしょう。

2016年4月29日 (金)

中学受験の本質

 中学生用の問題集を見ると、どの科目であれ、中学受験の問題と全く同じ問題が多々あるのに気づきます。社会と理科は中学とほぼ同じ、国語も古典がないだけで内容はほぼ同じです。算数に関しては、中学や高校の範囲を算数を使って解くのが一般的ですが、「中学・高校の解法(数学)を使ってはいけない!」わけではありません。昔の塾は「使ってはいけない!」「使うと0点になりますよ!」と平気で嘘をついていましたが、インターネットの普及によって「中学・高校の解法(数学)を使っても全く問題なかった」という事実が広まり始めると、「禁止されているわけではないですけど…」と態度を変えました。塾からすれば、「使ってはダメ!」としておかないと経営に響いたからでしょう。数学を学びたいのであれば、中学生向けや高校生向けの塾に行けば済む話だからです。もっとも、数学が算数より優れているというわけではありません。抽象度の高い数学よりも、具体性のある算数の方が分かりやすいという子供の方が一般的でしょう。要は子どもにとって使いやすい方を使えばいいだけの話です。ただ、嘘はいただけませんね。

 昔は、現在のような中学受験専門塾はありませんでした。そんな時代に、中学や高校で習う範囲から出題される問題に、当時の子供達はどうやって対応していたのかというと、中学や高校の教科書や問題集を使って、先取り学習をしていたのです。結果的にそういう子供達が中学受験を突破し、良い大学に入って良い会社に入って成功する、そういうロールモデルが形成され、そしてそれに憧れる家庭が増加しました。そしてそういう家庭の要望を満たすべく、私立が乱立し、それに伴い中学受験専門塾が台頭しました。優れたマニュアルで数多くの子供達に可能性を広げたのは間違いなくそれらの塾の功績です。しかし、中には子供自身よりも親の願望によって受験勉強を始めたという家庭もあり、合格できたもののカリキュラムについていけず、ドロップアウトするという子供が数多く現れ始めました。「名門私立に入れば、質の高い授業とカリキュラムで子供を導いてくれる」と思われがちですが、高いのはあくまで「レベル」であって、必ずしも「質」が高いわけではありません。実際、有名私立の生徒たちからはよく、「教師の言っていることがさっぱりわからない」「教師の言っていることが難しすぎて授業についていけない」という相談をされます(良い教師とは、難しい内容を簡単な言葉で説明できる人ですが、進学校におけるその認識のなさは今も昔と全く変わっていない印象です)。そういう場合でも、昔の子供達であれば、自分が入りたくて入ったのだから、それにくらいついていけたのでしょう。しかし元々そんなにやる気のなかった現在の子供達は気持ちが折れ、ドロップアウトしていきます。どの有名私立でも、下位層の学力はかなり悲惨な状況ですが、そういう実情はあまり知られていないようです。

 よく「公立中学はレベルが低い」と言われますが(よく学習塾はこう口撃しますが)、確かにレベルは低いですが、質が低いわけではありません。レベルが低いのは学力の低い子供達にも配慮しなければならないからであって、別に教師に高いレベルを教える技術がないわけではありません。試しに授業時間外に難しい問題を質問しに行ってみればいいでしょう。分かりやすく教えてくれるはずです。また、公立では教師は学力の低い子供達にも配慮して、なるべく平易な言葉で授業するため、生徒達はより良く理解することができます。私個人の経験で言っても、中学時代の教師達の授業が一番分かりやすかったです(一番分かりにくかったのが高校でした)。また、姫路は全体的にスポーツが強いです。例えば(白浜の)灘中学は柔道部が、夢前中はバレー部が全国大会の常連ですし、その他の学校も結構スポーツや文化部が強かったりします。公立だと、そういう名門クラブの英才教育が「タダ」で受けられます。そう考えると、公立が決して悪いとは思えません。

 たまに高校時代の同級生に会うと、みな口をそろえて「子供は私立に行かせたい」と言います。おそらく、高校に入ってからの「あの」急激な勉強のハイレベル化を経験し、「中学時代にもっと勉強させなければ、高校からが大変だ!」と考えているからでしょう。また、世代的にもまだヤンキーが多かったということもあり、「うちの子を変なのと一緒にさせたくない」という部分もあるようです。そういう同級生たちも、有名私立の下位層の学力の悲惨さを知れば考えを改めるかもしれません。公立の生徒は高校に進んでから壁にぶち当たり、そこで挫折するか、それを乗り越えるかしなければなりませんが、有名私立の生徒達はそれを中1段階で経験します。それを乗り越えられる生徒はいいですが、それができない生徒は6年間くすぶり続けます(そういう生徒はさっさと学校を辞めて公立に戻った方が良いと思います)。同級生たちには、そのリスクがあまり認識されていないようです。私立の底辺で6年間くすぶり続けるくらいなら、公立中学でしっかりと基礎・基本を固めて、かつ部活もガンガン頑張って体力も精神力も身に付けたうえで、それで高校で落ちぶれた方がまだマシです(高校で落ちぶれた人は高1からやり直せばいいですが、私立で落ちこぼれた人は中1からやり直さねばなりません)。公立は私立に比べて1年短い状況で大学入試に臨まねばなりませんが、基礎と基本が固まっていれば全く問題ありません。

 長々と書きましたが、私が言いたいのは要するに、中学受験の実質は飛び級だということです。難関私立は公立の勉強に満足できない子供が行くべきところです。小学校の勉強もままならない子供が行くべきところではありません。たとえ現在の成績が悪くても、子供に勉強を頑張る意志があり、かつ実際に塾や学校からの課題をきちんとしているのであれば、そのまま受験勉強を続けさせた方がいいでしょう。そういう子供は必ず伸びます。しかし、子供が家でまったく勉強していない状況(あるいはやったふりして答えを丸写ししている状況)であれば、さっさと受験勉強をやめさせた方がいいです。それが現時点でのその子の限界だったということです。そのまま無理やり受験勉強を続けさせると、その子は壊れてしまいます。そうなる前に、早めに撤退するべきです。

2015年12月17日 (木)

淳心の白陵化について

 前々から「淳心が白陵化している」と言われていましたが、ここ数年でその傾向がますます強くなってきたように思います。まず、入試問題がヴェリタスとカリタスの導入以後、急に難しくなりました。過去問を解いて安心していると痛い目に合います。また、宿題の量もかなり増えました。それでいて淳心らしい自由な校風は変わっていません。基本を大事にするところも変わっていません。対して白陵(岡白)の入試問題は以前ほどは難しくなくなってきたように感じます。特に岡白は、以前はその場での発想力を問われる問題が多かったように感じましたが、ここ最近の入試問題は、受験勉強を真面目にやっていれば必ず解ける問題の割合が増えたように思います。淳心と白陵は偏差値的にも宿題量的にも大差なくなり、後は校風の好みの問題になっていくような気がします。

 淳心の宿題の量が増えたのはおそらく、生徒の自主性に任せておくと勉強しないからでしょう。昔は、淳心の進学実績の方が圧倒的でした。おそらく当時は、自分で考えて自分で勉強するという生徒が多かったからだと思います。そもそも昔は、中学受験をするという子供というのは、小学校の勉強に飽き足らず、自主的に中学の先取りをするような人達ばかりでした。しかし中学受験専門の塾が台頭し始め、子供達は塾のマニュアルに従っていれば合格できるようになりました。その結果、子供達はマニュアルを示してくれる人がいないと勉強しなくなりました(別に塾を責めているわけではありませんよ)。今の子供達も、学校から出された宿題は一通りはこなします。昔の子供はそれでも「一通りやっただけで、テストで点数が取れるか?」と考え、自主的に復習していました。しかし、今の子供達は考えないので、復習をしません。なのでテストでいい成績がとれません。そういう意味では、白陵は時代を先取りしていました。生徒の自主性に任せてもどうせしないので、同じような問題の宿題を大量に出すことで復習も強制させる、そういうカリキュラムにしました。結果的に奏功し、白陵の合格実績は淳心を追い越しました。

 勉強もスポーツと同じで、結局は練習量の多い学校ほど実績を残しています。大量の宿題は、自主的に勉強できない人には良いと思われます。ただ、大量の宿題は、自主的に勉強できる人にとっては重荷でしかないでしょう。大量の宿題は、その人個人によっては不要なものも含まれているからです。特に入試直前期になると、自分のやりたいことがあるのに宿題に縛られてできないというケースがあります。淳心が宿題の量と自主性のバランスをうまく取れれば、ものすごい合格実績を上げると思われます。

2015年5月20日 (水)

中学受験をしなくても、中学受験勉強はした方がいい

 中学受験をしない人も、無理のない範囲で、中学受験勉強はした方が良いです。以前にも書きましたが、中学受験勉強とは、中学で学ぶことの先取り学習に過ぎません。なので、どうせ勉強するなら、余裕がある時期にできるだけ早く済ませた方が後々余裕ができます。中学受験勉強といっても、別に「塾に行け」と言っているわけではありません。独学でも十分に中学受験勉強はできます。問題集を買って独学で勉強して、模試だけ受ければよいのです。

 あくまで私個人の経験ですが、人生で一番時間を無駄にしたのが小学生時代だったと思います。小学校は中学や高校のように勉強やスポーツで競争がなかったため、努力する方向性も見つけられず、エネルギーをもてあまし、結構ストレスフルでした。加えて、「体育大会の練習」といって毎日2時間ひたすら行進の練習だけするなど、今現在人生において何の役にも立っていないことを沢山させられた印象があります。授業も簡単すぎる&話がつまらないので退屈で、かといって勝手に別の勉強をしたら「ちゃんと授業聞かんかい!」と怒鳴られました。こんなところで時間を浪費するぐらいなら、たとえ大変でも、もっと高いレベルの場所で自分を高める努力をすることに時間を割くべきです。子供時代に学ぶべき一番大事なことは、知識や技術を覚えることではなく、何かに全力で頑張ることの充実感を覚えることだと思います。この充実感を知っている人は、大人になってからでも何事にも頑張れます。残念ながら小学校ではそれを教えてはくれません。本気になれる「何か」を自分で見つけられる人は良いですが、そうでない人は、とりあえず中学受験勉強をしてみましょう。決して損はありません。それで勉強をすることの充実感が得られれば最高です。

2014年10月11日 (土)

難関私立の落とし穴

 中高一貫の難関私立校に入学し、そのカリキュラムに従って有名大学に進学できる人もいれば、全くカリキュラムについていけず、浪人してやっと中堅レベルの大学に行く人もいます。後者のような落ちこぼれの生徒ですが、全く課題をしないような不真面目な人は論外として、学校から出された課題は一応はこなし、テスト前にもそれなりに勉強しているにもかかわらず、成績がいまいちな人もいます。あの難関試験を突破した天才たちがなぜこんなことになるのか?私立には落とし穴があります。その辺りをしっかりと認識しておかねばなりません。

①カリキュラムが早すぎる&課題が多すぎる…私立は公立よりもかなり速いスピードでカリキュラムが進められます。高校の単元だと上位公立高校とそれほどスピードは変わりませんが、中学時代は公立中学よりも難しい内容を、公立の2倍近い速度でカリキュラムが進められます。それに伴い、学校から大量の課題が課されるため、結果、復習にかける時間が少なくなり、理解が不十分なまま次の単元に進む羽目になります。理解を不十分にしたところに戻って固めようにも、カリキュラムが先にどんどん進んでしまうため、また、大量の宿題に時間がとられるため、戻れません。こうしてドツボにはまっていきます。

②基本を軽視している…これは全ての私立に当てはまることではありませんが、学校によっては有名大学に合格させるという意識が強いためか、授業では基礎や基本にあまり力を入れず、大量の宿題で基礎と基本を固めさせ、授業では演習をメインにしているところもあります。私の下に依頼に来る、成績の芳しくない私立の生徒は、驚くほど基本が理解できていません。そういう生徒に基本を説明してみると、真綿が水を吸うように吸収してくれます。自分で教科書を読んでどんどん勉強をするような子供は別として、実際には基本から教えて欲しいという生徒の方が多い印象です。

③運動時間が少なすぎる…ほとんどの私立はスポーツがあまり盛んではなく、「勉強の妨げにならない範囲で」短時間しか部活動をさせません。これは極めて愚かしいことです。本来、人間は勉強だけをするように造られていません。運動をしなければ体力はつきませんし、ストレスも発散できませんし、集中力もつきません。勉強だけをしていると必ずおかしくなります。成績を上げさせたければもっともっと運動をさせるべきです。

④社会と理科を軽視している・・・「五教科平等」の公立とは異なり、私立では国語・数学・英語を主要三教科として扱っています(個人的には「そもそも英語って主要か?」と思います。英語は実用性が高い反面、ただのコミュニケーションツールにすぎません。学問としては本質的ではないという印象です)。たとえ学校側に社会と理科を軽視する意図はなくとも、カリキュラム自体が主要三教科を重視している結果、生徒達に社会と理科を主要三教科より下に見る意識を芽生えさせてしまいます。私立の生徒の社会・理科に対する意識は、公立の生徒の副教科(保健、技術・家庭、美術、音楽)に対する意識に近いものがあります。「社会と理科は後で何とかなる、とりあえず主要三教科を」などと思っていたらとんでもない大間違いです。「社会なんて覚えるだけ」そう言って、結局最後まで覚えられないままの生徒は少なくありません。

 以上述べたことはあくまで相対的なものであり、成績の良い人にはまったく当てはまらないことばかりでしょう。対して成績の悪い人は、自己分析をしっかりしなければなりません。今やるべきことを絞り、たとえそれが学校のカリキュラムに合っていなくとも、それを優先させるべきです。いろいろと試してみて、それでもついていけないようであれば、その学校に合わなかったのです。自分のレベルにあった学校に転校するべきです。

2013年7月20日 (土)

淳心学院中学・高等学校について

 私が小学生の頃は「淳心=エリート集団」という印象で、受験生も「淳心が本命、白陵・岡白は滑り止め」というのが共通の認識でしたが、今や立場は逆転してしまいました。家庭教師の依頼もほとんどは「淳心は滑り止め」で、「本命が淳心」という生徒は稀です。失礼なことを書きましたが、私の知る限り、淳心の教育の質は昔から現在に至るまで非常に高いものです。淳心の優れているところは基本を重視しているところです。進学校に多いパターンとしては、基本は生徒に任せて、応用的な部分を授業で集中的にこなすというものですが、淳心はそういう手を抜きがちでかつ軽視しがちな基本をしっかりと固めてくれます。ちなみに、私が中・高でお世話になった塾(高橋志学塾)の塾長も淳心出身でしたが、暗記系の重視と要点をついた淳心スタイルの授業は私にはかなり合いました。

 以前、ある兄弟を教えていました。上(以下A)が岡白で下(以下B)が淳心ですが、Aが中2の時に受けたZ会の模試の問題を中2のBに解かせたところ(国、数、英3教科300点満点)、Bの方が100点以上点数が高かったです。Aは岡白で難問ばかりの大量の宿題に振り回される日々が続いており、また片道1時間の電車通学のせいで勉強時間が確保できないというデメリットも相まって、基本が全く身についていませんでした。それに対しBは、難問は間違えていましたが、基本が固まっていたため基本問題の取りこぼしがほとんどありませんでした。淳心まで自転車で10分で通学できる距離なので、タイムロスも疲労蓄積もありません。偏差値が高いからと言って一概に良いとは言えない例の典型です。

 淳心の校風は、一言で言えば自由です。自由というと聞こえはいいですが、自由には責任を伴います。以下、白陵と比べた場合、まず宿題の量はそれほど多くはありません。余った時間を復習に費やす生徒は成績が伸び、そのままにする生徒は落ちこぼれます。そこは生徒の自己責任です。また、定期テストの回数も比較的少ないため、「テストがあるから勉強する」という強制の契機が少なくなります。テストの問題は比較的簡単ですが、「絶対に抑えていないといけない」そういう問題を精選して出題している印象です。奇をてらったような変な問題はほとんど見かけません。あと、Z会等の模試の回数も少ないので、全国レベルでの自分の現状を把握しにくいです。スポーツにもあまり力を入れていません。私の知る限り、「部活は事実上自由参加」というのがほとんどです。良くも悪くも自主性を尊重している印象です。ただ、生徒は自分の意思で自由に時間を使っているので、生徒の学校に対する不満を耳にしたことはほとんどありません。

 淳心もここ数年の大学進学実績の低迷を受け、さすがに危機感を覚えたらしく、現在テコ入れをしている最中だそうです。以前に比べ宿題の量が増え、宿題やテストの問題が難しくなってきています。白陵のカリキュラムに近づいた印象です。個人的には以前のようなカリキュラムの方がいい気がしますが、これは今後の動向を見守らないと何とも言えません。

2013年7月16日 (火)

白陵中学・高等学校について

 白陵は昔から医学部への進学率が非常に高いことから、医師を目指すご家庭の人気が非常に高い学校です。ハイレベルな内容のカリキュラムがハイペースで進められ、それに伴い大量の宿題が出されます。このカリキュラムについていける生徒は東大であろうが医学部であろうがどこでも合格できますが、一度でもつまづいた生徒は悲惨な6年間を送ることになります。カリキュラムについていけず、途中で自主退学する生徒も少なくありません。勉強版「虎の穴」といった感じです。

 白陵は灘・甲陽・神戸女学院落ち、あるいは灘・甲陽・神戸女学院志望からの転向の生徒が比較的多く、そういう生徒達が白陵の大学合格実績を支えているのが現状です。カリキュラム自体、そういう生徒達(勉強に対する意識と耐性が非常に強い生徒達)に合わせて設定されているという印象です。そういう生徒達と本命で白陵合格の生徒達とは基礎学力が大きく異なります。本命で白陵合格の生徒達は、そういう生徒達と競争するという意識をもって勉強しなければなりませんし、そういう生徒達から刺激を受けなければなりません。

 白陵の定期テストは基礎・基本だけが理解できているだけでは点数は取れません。基礎・基本はできて当たり前、上位を狙うには応用レベルもしっかりとこなさねばなりません。基礎・基本は大量の宿題で固め、授業では専ら応用的なことを教えている印象です。「基礎・基本は自分でできますんで」という人向けの学校であり、「基礎・基本からみっちり教えてほしい」という人には不向きな学校と言えます。「この子、頭はいいんですけど、家では全然勉強しないんですよ~(←ほとんど男子です)」こういう人は最初から白陵を目指さない方がよいでしょう。仮に入学できたとしても、真っ先についていけなくなります。

 もし白陵に入学したのであれば、特に部活を決めていないのであれば、是非とも柔道部に入部することをお勧めします。白陵は私立の中では比較的部活動に熱心な印象ですが、特に柔道部は素晴らしい。兵庫県の中学柔道界は現在小野と(姫路の)灘の二強時代で、いずれも全国レベルの大会で優勝を重ねています。全国のエリート小学生を寄せ集めている東京都を除けば、兵庫県が全国で一番レベルが高いと言っても過言ではありません。その兵庫県の中でも、特に白陵のいる東播では過去に宝殿・荒井・小野が全国制覇を果たしており、全国で最激戦区といえます。その東播で、少ない練習時間でそれなりの実績を上げている白陵はかなり凄いんです。柔道をすれば体力がつくだけでなく人間的にも大きく成長できますので、是非ともお勧めします。白陵に限らず、私立はどうしても運動時間が少なくなりますので、柔道でなくても、何かしらスポーツはした方がいいと思います。

2013年7月 8日 (月)

日能研と浜学園

 姫路市在住で難関校の中学受験となると、実績でいえば塾は日能研と浜学園になります。これから中学受験を始める上で、どちらに子供を入塾させるか迷っておられる方も多いと思いますが、総合的に見れば浜学園の方が良いと思います。まず、浜学園の方が圧倒的に解説が詳しいです。特に浜学園の算数の解説は図表がしっかりと使われており、子供が容易に視覚的に解法をイメージできるようになっています。対して日能研の解説は非常に薄いです。また、カリキュラムも浜学園の方が優れている印象です。カリキュラムは浜学園の方がハードです。一番下のクラスでもかなりハードです。しかし下のクラスでも本人の努力次第ではそれなりに実績のある中学に合格できます。対して、日能研は下のクラスだと学力的に行ける中学がほとんどありません。以上の理由から、個人的には浜学園の方をお勧めします。ただ、日能研は最大手だけあって問題のカバー率が非常に高く、どのレベルの問題も取りこぼしがありません。自分で解説を読んで理解できるのであれば、どんな難関校でも全く問題ないと思います。

 もっとも、四谷大塚の『予習シリーズ』や学研の『合格自在』などの優れたテキストが登場したことで、これらの教材を使用して実績をあげている塾が出てくるようになりました。子供を塾に通わせず、親が『予習シリーズ』や『合格自在』を使用して子供に教えているご家庭も多いそうです。塾業界は競争が厳しくなるでしょうが、子どもにとっては選択肢が増えて良いと思います。子供にどの塾が合うかは子供にしかわかりませんし、結局最後は講師の質に左右されるところが多いです(塾では講師の入れ替わりが激しいです。引き抜きなんてざらです。これは、塾業界の労働条件が極めてブラックだからです。)。塾を選ぶ際には、なるべく多く体験授業を試してみることをお勧めします。

中学受験勉強を始める前に

 中学受験勉強を始める前に一言。中学受験勉強で学ぶ内容は、大まかに言えば公立中学で習う範囲です(場合によっては高校の範囲も)。小学生のうちに公立中学生の範囲を済ませておくと、入学後は最初の2年間で中学のカリキュラムを終わらせ(2年間で公立中学では教えない範囲を教えます)、中3から高2の間で高校のカリキュラムを終わらせ、残りの1年を余裕をもって大学受験対策(主に演習)に時間を割くことができます。上位公立高校での3年間のハードさを考えると、このメリットはかなり大きいです。

 ただ、正直なところ、大学受験・高校受験・中学受験の中で、中学受験が一番難しいと思います。精神力も体力も未成熟な状態で、公立中学生が1週間丸1日かけて学ぶ内容を、塾で1日1~2時間を週3回ほど、しかも中学生の教科書よりも薄っぺらいテキストを使って学ぶのですから、理解が不十分になるのも当然です(子供がファスト思考に偏る危険もあります)。さらに、中学校で習うマイナス(-)の考え方や文字式・方程式を利用できないという制限もあります。塾のカリキュラムについていけない子供がたくさんいますが、むしろついていけなくて当然だと考えた方がいいでしょう。子供に結果を求めるのは酷です。たとえ子供の成績が悪くても、子供が「授業自体は楽しい」と感じ、かつ宿題もきちんとしているのであれば、受験勉強を続けさせた方がいいと思います。たとえ不合格に終わったとしても、中学受験勉強で学んだことは後々大いに役に立ちますから。しかし子供が全く宿題をしないような場合、早めに撤退した方がいいです。特に、漢字と計算をしない子供、汚すぎて判別できない字を書く子供、これは論外です。仮にそういう状態で子供に受験勉強を無理強いすると、子供はますます勉強嫌いになります。公立の中学で、ゆっくりと、確実に、自分のペースでやっていけばいいんです。公立からでも有名大学に行く生徒は実際いくらでもいるのですから。