書評その他

2018年7月 8日 (日)

野矢茂樹さんの本

 センター試験が2020年1月(2019年度)の実施を最後に廃止され、2020年度(21年1月)から新しい共通テスト「大学入学共通テスト」が導入されます。これを受けて各学校のカリキュラムにも変化が見られますが、さすがに(上位の)私立は対応が早い、かなり大胆にカリキュラムを変え、よりアカデミックになった印象です。特に変化が著しいのが国語、文章力の強化にかなり力を注いでいる印象です。おそらく数年後には、上位私立高校と上位公立高校とで大学合格実績にかなりの差が出るのではないかという予感と、それを受けて上位公立高校のカリキュラムが今よりもさらにハードになるのではないかという悪寒がします。

 「文章の書き方が分からない」、そういう人にお勧めしたいのは、野矢茂樹さんの『大人のための国語ゼミ』という本です。タイトルの通り、元々は大人のための国語の本なのですが、個人的にはむしろ、ある程度基礎学力のある子供が読むべき本だと思います。野矢さんの名前は、中学生であればおそらく、国語の2年の教科書に載っている『哲学的思考のすすめ』でご存知の方も多いことでしょう。文章の要約の仕方など、文章を書くための基本的なことがかなりわかりやすく解説されているので、かなりお勧めです。

 あと、ある程度偏差値の高い学校に入学する人に(できれば入学前に)是非読んでおいて欲しいのが、同じく野矢さんの『入門!論理学』という本です。この本は論理学の入門用テキストとして大学生の定番になっていますが、個人的にはむしろ、これから本格的に数学や現代文を学んでいく中学生や高校生に読んで欲しいです。その方が、より数学や現代文の理解が深まると思います。

2017年2月19日 (日)

お勧めの文学アニメ

 中学受験の国語の問題集などでよく、「『舞姫』の作者を次から選べ。あ・夏目漱石、い・森鴎外…」というような問題が出題されたりします。こんなもん出題して何の意味があるのか甚だ疑問ですし(「Q:『こころ』の作者は?」「A:夏目漱石!」「Q:で、読んでみてどうやった?」「A:読んでないっすw」これでは何の意味もありません)、こんな問題を出題するような学校はやめておいた方がいいと思うのですが、それはともかく、塾から覚えるように宿題に出され、それがテストに出される以上、生徒は覚えないわけにはいきません。「とにかく覚えろ!」「いいから覚えろ!」と言われても(こう言うのはたいてい男ですが)、人間は物事を機械的に覚えられるものではありません。ここは日本の誇るアニメを見て、簡単なあらすじだけでも理解しておいた方がいいです。以下、お勧めのアニメです。

 なお、このサイト(青空文庫)では過去の名作文学が無料で読めますので(パブリックドメイン)、興味のある方は是非ご利用ください。

●日本文学編

・『青い文学シリーズ』(実用度5/5、面白さ3/5)…5年ほど前に読売テレビの深夜に放送されました。太宰治の『人間失格』と『走れメロス』、坂口安吾の『桜の森の満開の下』、夏目漱石の『こころ』、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』と『地獄変』のダイジェスト版です。キャラクター原案は『デスノート』の小畑健さんらが務めています。超有名作品ばかりなので、実用性が極めて高いです。

・『源氏物語千年紀 Genji』(実用度4/5、面白さ2/5)…8年ほど前に関西テレビのノイタミナ枠で放送されました。タイトルの通り、紫式部の『源氏物語』をアニメ化したものです。絵はきれいですがテンポがやや遅く、しかも途中で終わってしまいます(源氏が須磨に流されるあたりまで)。

・『天守物語』(実用度2/5、面白さ2/5)…10年ほど前にノイタミナ枠で放送されました。泉鏡花の『天守物語』をアニメ化したものです。平凡な作品で、全く印象に残っていません。

・『羅生門』(実用度4/5、面白さ5/5)…アニメではなく映画ですが、『世界のクロサワ』こと故・黒澤明監督による1950年の作品で、ヴェネツィア映画祭の金獅子賞という大変権威のある賞を受賞した作品です。タイトルは『羅生門』ですが、内容は芥川龍之介の『藪の中』がメインで、設定だけ『羅生門』といった感じです。白黒映画ですが、映像がとてつもなく美しく、また出演者の演技も全員素晴らしいです。昔の日本の映画界のレベルがどれほど高かったか、それがよくわかります。

●海外文学編

海外文学が出題されることはめったにありませんし、原作自体あまり面白いとは思えないものが多いですが(おそらく、原文で読むと面白いのでしょうが)、日本のアニメの技術は素晴らしく、数多くの名作を生み出してきました。

・『まんが世界昔ばなし』(実用度5/5、面白さ3/5)…40年くらい前に製作された番組で、5年ほど前にもサンテレビで早朝に再放送されていました。世界中の超有名な話を15分に詰め込んでいます。どちらかと言うと低学年向きの作品です。

・『宝島』(実用度1/5、面白さ5/5)…40年くらい前に製作された、スティーブンソンの『宝島』をアニメ化した作品です。5年ほど前にサンテレビで早朝に再放送されていました。原作はたいして面白くないですが、このアニメは原作を100倍くらい面白くしています。メインキャラで片足が義足のシルバーという海賊が登場しますが、このシルバーが半端なくカッコいいんです。まさに男の中の男、男ならみなシルバーのような男に憧れるでしょう。そしてもう一人、グレーと言う船乗りが登場しますが、このグレーもまたかっこいいんです。このグレー、原作では存在感0のチョイ役なのですが、この作品ではシルバーの好敵手として大活躍しています。カッコいい男たちの生きざまを是非ご覧ください。

・『巌窟王』(実用度1/5、面白さ5/5)…10年くらい前の作品で、デュマの『巌窟王』をアニメ化した作品です。「あなたが今まで見たアニメで一番面白かったのは?」と聞かれて真っ先に思い浮かぶのがこれです。圧倒的な映像美と緻密なストーリーで、あまりの面白さに1日で全話視聴してしまいました。

・『ふしぎの海のナディア』(実用度1/5、面白さ5/5)…私が中学生の頃にNHKで放送されていたアニメです。原案はジュール・ベルヌの『海底2万マイル』なのですが、原作とはかけ離れたストーリーが展開され、最終的には人類の存続をかけた戦いへと発展していきます。この作品の放送後に『アトランティス』というディズニー映画が公開されましたが、その内容や設定がナディアそっくりだったため、「これってナディアのパクリじゃねーの?」とかなり話題になりました。

・『ロミオの青い空』(実用度1/5、面白さ5/5)…懐かしき『ハウス世界名作劇場』の一作品で、リザ・テツナーの『黒い兄弟』というややマイナーな作品が原作です。奴隷として煙突掃除夫として売られてきた少年たちが団結して困難を乗り越えていくという話の流れは原作と同じですが、アニメの方はオリジナル要素が加味され、後半からは主人公ロミオの親友アルフレドによる復讐劇が話の中心になってきます。このアルフレドが世界名作劇場シリーズでも屈指の美少年だったので、女性人気が非常に高かったそうです。

・『家なき子レミ』(実用度1/5、面白さ5/5)…同じく『ハウス世界名作劇場』の一作品で、マロの『家なき子』が原作です。原作とは異なり、レミが女の子です。

・『アニメ三銃士』(実用度1/5、面白さ4/5)…私が小学生の頃にNHKで放送されていたアニメで、原案はデュマの『三銃士』と『鉄仮面』です。アラミスが実は女だったという設定が結構話題になりました。かなり面白い作品ですが、主題歌をのりPが歌っていたため、再放送されることが半永久的になくなりました。

・『蜘蛛巣城』(実用度3/5、面白さ5/5)…アニメではなく映画ですが、『世界のクロサワ』こと故・黒澤明監督による1957年の作品で、シェークスピアの『マクベス』を日本の戦国時代の設定で映像化した作品です。山田五十鈴さんの演技が凄いです。

以下、順次更新予定

2016年5月 8日 (日)

『これからの世界をつくる仲間たちへ』落合陽一

 最近テレビによく出演されている落合陽一さんの本です。内容は、これから世の中が大きく変わる中で、若者がどう生きていくべきかを説いたものです。理系の方ですが専門的な内容ではなく、分かりやすい文体で書かれています。

 内容を簡単に要約すれば、今までは事務処理能力の高いホワイトカラー(知的労働者)が出世のロールモデルだった、なので学力が高い=事務処理能力が高い人は成功できた、しかしこれからはコンピューターが加速度的に発展してホワイトカラー(知的労働者)のポジションを奪っていく、なので勉強ができるだけでは成功できない、成功したいならコンピューターにできないことをするしかない、コンピューターは事務処理能力は高いが創造性はない、なのでこれからは創造性のある人(「クリエイティブ・クラス」)を目指すべき、というものです。後半は、クリエイティブクラスになるために必要なことが具体的に書かれており、若者は勿論、私のような中高年にも非常に参考になる内容だと思います。

 ただ、実際のところ、現在の日本の教育システムでは、なかなか創造性を育てることは難しいだろうと思います。創造性とは答えのないものですが、最初から答えのある問題をテストや入試で出題して、それが解けると評価される、そういう環境では優秀なサラリーマンは育ちますが創造性は育ちません。これからは入試の形式もどんどん変わってくるでしょう、どの学部でも小論文は必須になってくると思います。

2016年4月29日 (金)

『僕らの仮説が世界をつくる』佐渡島庸平

 4月に入り少しスケジュールに余裕がでてきたので、色々と本を読みました。その中で役に立った本や面白かった本を少しずつ紹介していきたいと思います。

 まず紹介したいのが、佐渡島庸平さんの『僕らの仮説が世界をつくる』という本です。佐渡島さんは『宇宙兄弟』や『ドラゴン桜』をヒットさせた編集者で、現在は会社を経営されています。以前、NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演されていたので、知っている方も多いと思います。ちなみに、教え子の一人に顔がめっちゃ似ています。

 本の内容は、これからの働き方のモデルケースを示したものなので、どちらかというと働く若者やこれから起業をする人向けだと思いますが、勉強に関することも書かれています。佐渡島さんは中学受験に挑戦するも全滅し、中学時代を南アフリカで過ごされました。10人の日本人だけの中で、教材は教科書だけという環境だったため、仕方なく教科書だけを徹底的に学んだそうです。しかし帰国してみると思いのほか成績が良く、灘高校を受験してあっさり合格、そのまま東大文学部に合格されたそうです。本人曰く、「塾や他の教材に惑わされず、ひたすら教科書という基本だけをやっていた」環境が幸いしたとのこと。「基本の徹底」こそが重要で、高校に入って数学ができなくなった人は「(基本的な)計算問題をしなくなったから」、高校には行って英語ができなくなった人は「(基本となる)単語を覚えていないから」とのこと。

 進学校の場合、難関国公立の2次試験を想定したカリキュラムで授業が進められるため、基本は生徒の自己責任に任せ、授業では応用を中心に進められます。試験問題もそのレベルから出題されるため、生徒もその部分だけを勉強します。それについていける人は有名大学に合格できますが、それについていけない人は応用はおろか、基礎すらもできないという悲惨な結果になります。後者は、まずはとにかく基本「だけ」をすることです。基本がしっかりすれば、そこから応用に対応するのは容易です。学校が基本をしてくれないのであれば、自分でするしかありません。時には学校を疑うことも必要です。

 他にも、「人生を変えるには習慣を変えるしかない」という部分が多いに共感できました。保護者の相談でよくあるのが、子供がゲームばかりして全く勉強をしないというものです。前にも書きましたが、基本的に、子供に理屈は通じません。説教されても「うるせーな」というのが子供の本音です。ゲームばかりして叱られて「心を入れ替える!神に誓う!!」と言ったところで、たとえそれが本心であれ、そこにゲームがある限りするに決まっています。私なら絶対にします。また、今はネット社会で動画がタダで見放題なので、子供からすれば天国です。説教しても子供のストレスがたまるだけなのでかえって逆効果です。それよりも、ゲーム機などの遊び道具を処分するのが一番手っ取り早くかつ確実な方法なのですが、なかなか実行してもらえないことが多いです(隠したところで、子供は絶対に見つけ出します。子供はそういうところにだけ天才的な能力を発揮します。)。「捨てたで」というとキレるので、こっそりと壊しましょう。「壊れた」なら、子供も納得するでしょう。

 以上に取り上げた部分は枝の部分であり、メインはむしろ経営に関することですが、いろいろと参考になることが書かれており、非常にためになる本だと思いました。

2015年11月 3日 (火)

やる気をもらえる漫画・アニメ

 以下、個人的にお勧めの「やる気をもらえる漫画・アニメ」です。勉強に行き詰まった人、ゲームやスマホいじりばかりして無気力に毎日を過ごしている人、そういう人たちに是非読んで(観て)ほしいです。何かのきっかけになってくれると思います。

・『キャプテン翼』 高橋陽一…サッカー漫画の金字塔です。この漫画のおかげでサッカー競技人口が激増しました。今にして思えば「ちょっとあり得ないだろ」と思える技がたくさん出てきますが、そんなことはどうでもいいくらい熱くて面白いです。ただ、面白いのは最初の「無印」編のみで、続編の「ワールドユース編」以降は全然面白くないです。「才能のないやつは努力するしかないんだ!!」(松山光)

・『スラムダンク』 井上雄彦…バスケットボール漫画の金字塔です。日本ではマイナースポーツだったバスケの競技人口が、この作品の影響で激増しました。登場人物の一人に三井寿という3Pシューターがいますが、この三井がやたらかっこいいのです。三井寿、中学時代は大会MVPに選ばれるほどの名選手でしたが、高校で挫折し、また怪我も重なってバスケ部を退部、不良になるもバスケへの情熱を忘れられず、バスケ部に戻ってきてチームのレギュラーとして大活躍します。割と三井に共感できる人は多いのではないでしょうか。はじめは情熱を持って努力するも挫折し、やる気ないふりして自分を誤魔化して、後悔したまま高校生活を送る、そういう人は少なからずいると思いますし、私も高校時代はそうでした。三井は恥もプライドも捨ててバスケ部に戻ってくるのですが、ほとんどの人は三井のようにしたくてもできず、後になって後悔している、そういう人が多いのではないでしょうか。何かに迷っているけど勇気が出せない人、そういう人には三井の生き方が参考になると思います。「あきらめたらそこで試合終了だよ」(安西先生)

・『あさひなぐ』 こざき亜衣…なぎなたの漫画です。個人的に今一番面白い漫画です。内面描写がとても素晴らしく、ごまかしが全くないのが凄いです。

・『BLUE GIANT』 石塚真一…世界一のサックスプレイヤーを目指す青年の話です。2017年に小学館漫画賞(一般向け部門)と、文化庁メディア芸術祭(マンガ部門)の大賞を受賞しました。「本気で生きる」とはこういうことだと教えてくれます。現在、続編の『BLUE GIANT SUPREME』が連載中です。

・『かくかくしかじか』 東村アキコ…ギャグマンガばっか描いている東村さんの自伝的な作品で、文化庁メディア芸術祭(マンガ部門)の大賞を受賞しました。東村さんの恩師とのエピソードを軸に、笑いあり涙ありの内容になっています。将来アート系に進みたい人に特にお勧めです。

・『響けユーフォニアム』 原作:武田綾乃、制作:京都アニメーション(サンテレビ)…京都にある高校の吹奏楽部が全国大会を目指して奮闘する姿を描いたアニメです。一見萌えアニメっぽいので敬遠される人も多いと思いますが、内容はスポ根です。

・『セッション』 アメリカ映画…世界最高峰の名門音楽学校で最高のドラマーを目指す青年の話です。

その他、『ヒカルの碁』(ほったゆみ・小畑健)、『ピアノの森』(一色まこと)もお勧めです。

2015年10月12日 (月)

おすすめの歴史漫画

 よく保護者の方々からおすすめの歴史漫画を聞かれるので、簡単に紹介しておきます。作品によっては残酷な描写や性的な描写があるので、そこは自己責任でお願いします。基本的に横山光輝さんと安彦良和さんの作品はハズレがありません。あと、歴史関係なく、手塚治虫さんの作品は絶対に読んでおいた方がいいです。手塚さんは『鉄腕アトム』や『ジャングル大帝』など、子供向けの作品をたくさん描いた人と誤解されがちですが、もしそう思っている方がおられたら、是非とも『MW』や『きりひと賛歌』や下記の『ひだまりの樹』や『アドルフに告ぐ』などを読んでいただきたい。手塚さんが「マンガの神様」と評される理由がわかるでしょう。

●縄文・弥生時代
・『ナムジ』安彦良和(面白さ5/5、実用性2/5)…大国主命の生涯を描いた作品です。戦後のGHQ政策の一環で、神話時代の話はタブー化されましたが、そこをリアルに描いた作品です。なんかの賞をとりました。
・『神武』安彦良和(面白さ4/5、実用性2/5)…『ナムジ』の続編です。タイトルは日本最初の天皇『神武』ですが、神武天皇が主人公ではなく、神武に仕えるナムジの息子が主人公です。
・『ヤマトタケル』安彦良和(面白さ?/5、実用性?/5)…未読ですが、安彦さんの作品なので間違いないと思います。
●飛鳥時代
・『蚤の王』安彦良和(面白さ4/5、実用性2/5)…伝説の力士、野見宿祢の話です。一冊できれいにまとまっています。埴輪が作られるようになった理由が面白かったです。
・『日出処の天子』山岸涼子(面白さ5/5、実用性4/5)…講談社漫画賞を受賞した超有名作品です。主人公は聖徳太子です。眉目秀麗かつ頭脳明晰、おまけに超能力まで使える聖徳太子です。内容は政治的なものではなく、超能力者ゆえに母親から愛されずに育ってきた孤独と、同性愛者であることの苦悩が描かれています。
・『聖徳太子』池田理代子(面白さ?/5、実用性?/5)…『ベルサイユのばら』の同氏の作品。『日出処の天子』と比べると、評判はあまりよくありません。
・『天智と天武』中村真理子(面白さ5/5、実用性5/5)…個人的に今一番面白い作品です。ドロドロしていてかなり面白いです。性的描写はありません。
・『天上の虹』里中満智子(面白さ4/5、実用性5/5)…持統天皇が主人公の作品。正統派で真面目な作品。
・『女帝の手記』里中満智子(面白さ3/5、実用性5/5)…称徳天皇を描いた作品。上に同じ。
●奈良・平安時代
・『阿・吽』おかざきまり(面白さ5/5、実用性4/5)…これも今面白い作品です。最澄と空海が主人公です。
・『応天の門』灰原薬(面白さ3/5、実用性2/5)…菅原道真と在原業平が主人公の作品ですが、この二人の探偵物語なので、歴史実用性はあまりありません。歴史的背景などはよく分かります。
・『あさきゆめみし』大和和紀(面白さ3/5、実用性5/5)…『源氏物語』を漫画化した超有名作品です。歴史ではなく古文での実用性が最強レベルです。内容は、頭脳明晰でイケメンで家柄も良い源氏の君が、あちこちの美女に手を出しまくる話です。
・『平家物語』横山光輝(面白さ3/5、実用性4/5)…横山さんらしい、正統派の漫画です。話が淡々と進みます。
●鎌倉・室町時代
・『アンゴルモア』たかぎ七彦(面白さ?/5、実用性?/5)…元寇を描いた作品。未読ですが面白いらしいです。
・『太平記』さいとうたかお(面白さ1/5、実用性2/5)…『ゴルゴ13』のさいとうたかお氏による作品。登場人物の顔の区別がつかないため、誰が誰だか分からなくなります。また、話も小難しいので、お勧めできません。
●戦国時代
・『徳川家康』横山光輝(面白さ5/5、実用性5/5)…山岡宗八の有名小説『徳川家康』を、巨匠・横山光輝が漫画化した作品です。題名は『徳川家康』ですが、織田信長、豊臣秀吉の生涯も余すことなく描かれています。
・『バカボンド』井上雄彦(面白さ5/5、実用性2/5)…吉川栄治さんの有名小説『宮本武蔵』を、『SLAM DUNK』の井上雄彦さんが漫画化した作品です。数多くの賞を受賞しています。歴史漫画としての実用性はあまりありませんが、人生訓が所々に散りばめられており、非常にためになります。ただ、絵が多すぎて話が全く進んでいません。
●江戸時代
・『大奥』よしながふみ(面白さ2/5、実用性2/5)…男女逆転の大奥を描いた作品です(家光や綱吉が女で、妻が全員男ということです)。原作は読んでおらず、堺雅人さんのドラマで見た限りではそこそこ面白かったです。
・『お~い!竜馬』小山ゆう(面白さ4/5、実用性5/5)…武田鉄也原作の有名作品です。タイトルの通り坂本龍馬が主人公ですので、討幕派の視点で話が進みます。
・『陽だまりの樹』手塚治虫(面白さ5/5、実用性4/5)…天才・手塚治虫氏による傑作です。幕末を舞台に、真っ直ぐで不器用な一人の武士を描いた作品です。『お~い!竜馬』と異なり、佐幕派の視点で話が進むため、日本史での実用性が高いです。
・『三河物語』安彦良和(面白さ4/5、実用性2/5)…『三河物語』を執筆した大久保忠教を描いた作品です。歴史漫画というよりは、江戸時代初期の社会状況がよくわかる漫画です。
●明治・大正時代
・『王道の狗』安彦良和(面白さ5/5、実用性3/5)…文化庁メディア芸術祭を受賞した、安彦さんの傑作です。十九世紀末、刑務所を脱走した主人公が武田惣角や金玉均や孫文に出会い、「王道」に目覚めていくという話です。ラスボスは陸奥宗光です。
・『虹色のトロツキー』安彦良和(面白さ5/5、実用性3/5)…満州国を舞台にした作品です。ノモンハン事件が話の中心です。川島芳子や金日成や李承晩も少し出てきます。
・『天の血脈』安彦良和(面白さ?/5、実用性?/5)…日露戦争の頃の日本を描いた作品。未読。
・『ゴールデンカムイ』野田サトル(面白さ4/5、実用性4/5)…明治初期の北海道を舞台に、埋蔵金を探し求める元軍人の話です。歴史漫画というよりは、当時のアイヌ民族の暮らしが非常によくわかる作品です。
●中国史
・『史記』横山光輝(面白さ3/5、実用性5/5)…司馬遷の『史記』を漫画化したものです。有名エピソードばかり収録されているので、漢文での実用度がきわめて高いです。
・『項羽と劉邦』横山光輝(面白さ3/5、実用性3/5)…横山先生らしい正統派の作品です。
・『赤龍王』本宮ひろ志(面白さ3/5、実用性3/5)…『サラリーマン金太郎』の本宮さんが描いた『項羽と劉邦』です。ドラマチックで面白いですが、性的描写が多々あります。
・『三国志』横山光輝(面白さ5/5、実用性2/5)…『三国志』の正史を丁寧に描いた超有名作品です。面白いですが、三国時代自体テストに出ることはありませんので(「黄巾の乱」と「魏志倭人伝」くらいです)、実用性はありません。
・『蒼天航路』王欣太(面白さ5/5、実用性2/5)…『三国志』の悪役・曹操を主人公にした作品で、講談社漫画賞を受賞しました。横山さんの『三国志』に比べるとドラマチックな内容です。話はかなり面白いですが、曹操が完璧すぎるので、正統派の『三国志』に慣れ親しんだ人には抵抗があるかもしれません。あと、性的描写が多々あります。
・『天地を喰らう』本宮ひろ志(面白さ3/5、実用性1/5)…本宮さんの描く『三国志』です。面白いですが、すぐに終わってしまいました。ゲームの方がヒットしました。
・『キングダム』原泰久(面白さ4/5、実用性2/5)…秦の始皇帝が中国を統一するまでを描いた作品で、主人公は奴隷から将軍まで上り詰めた少年です。面白いですが、展開がかなり遅いです。登場するおじいさん達が全員かっこいいです。
●西洋史その他
・『ジャンヌ』安彦良和(面白さ2/5、実用性2/5)…タイトルの通りジャンヌ・ダルクをモチーフにした作品ですが、ジャンヌ・ダルクはただの一度も登場しません。ジャンヌの死後の話。あまり面白くありませんでした。
・『我が名はネロ』安彦良和(面白さ4/5、実用性4/5)…ローマ帝国の暴君ネロを描いた作品。暴君の実像に迫った作品です。
・『イエス』安彦良和(面白さ2/5、実用性2/5)…タイトルの通りイエス・キリストをモチーフにした作品です。正直あまり印象に残っていません。
・『アドルフに次ぐ』手塚治虫(面白さ5/5、実用性1/5)…ナチス時代を背景に、3人のアドルフを中心に描いた作品です。一人はアドルフ・ヒトラーで、ほとんど登場しません。幼い頃に親友同士だったドイツ人のアドルフとユダヤ人のアドルフが、ナチスの洗脳によってお互いに憎み殺し合うようになる過程が描かれています。実用性はあまりありませんが、傑作です。
・『ベルサイユのばら』池田理代子(面白さ5/5、実用性4/5)…超有名作品で、宝塚でも何度も上演されています。フランス革命期のフランスが緻密に華麗に描かれています。数年前にサンテレビで再放送されていました。
・『女帝エカテリーナ』池田理代子(面白さ3/5、実用性4/5)…ロシアの女帝エカテリーナ2世の生涯を描いた作品です。ドラマチックに簡潔にまとめられています。世界史向け。