2018年8月16日 (木)

『傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった』小野美由紀

 最近読んだ、小野美由紀さんという女性作家の自叙伝『傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった』がかなり面白かったので紹介しておきます。内容はタイトルの通り。不登校、自傷行為、就職活動中にパニック障害、毒親(母親)との死闘など、けっこう凄まじい内容なんですが、文章は重々しい感じではなく、「クスっ」と笑わせてくれるところも多々あり、かつ困難をどうやって乗り越えてきたかが具体的に書かれています。「あ、私、病んでるな」という自意識のある女子、親(特に母親)との関係に悩んでいる女子、将来について悩みや迷いのある女子は、これを読めば救われるかもしれません。また、「うちの娘、明らかに病んでるな」と思っている母親、あるいは娘との関係に悩んでいる母親にも参考になると思います。かなりお勧めです。

 母親はシングルマザーで世間の厳しさを知っている分、娘には強く育ってほしい、そのために良かれと思って娘に厳しく接するのですが、娘にはその厳しさが愛情の裏返しであるということを理解できない。「ただ愛して欲しかった」そのサインを自傷行為でしか表現できない娘と、それが理解できない母親、最後は凄まじい修羅場の末、はじめて本音をぶつけ合うことで、ようやくお互いが理解できるようになります。私もこれまで様々な家庭を見てきましたが、時に厳しくとも、子供が親の愛情を感じられているところは皆、うまくいっています。結局、伝え方の問題なんですよね。

2018年7月 8日 (日)

野矢茂樹さんの本

 センター試験が2020年1月(2019年度)の実施を最後に廃止され、2020年度(21年1月)から新しい共通テスト「大学入学共通テスト」が導入されます。これを受けて各学校のカリキュラムにも変化が見られますが、さすがに(上位の)私立は対応が早い、かなり大胆にカリキュラムを変え、よりアカデミックになった印象です。特に変化が著しいのが国語、文章力の強化にかなり力を注いでいる印象です。おそらく数年後には、上位私立高校と上位公立高校とで大学合格実績にかなりの差が出るのではないかという予感と、それを受けて上位公立高校のカリキュラムが今よりもさらにハードになるのではないかという悪寒がします。

 「文章の書き方が分からない」、そういう人にお勧めしたいのは、野矢茂樹さんの『大人のための国語ゼミ』という本です。タイトルの通り、元々は大人のための国語の本なのですが、個人的にはむしろ、ある程度基礎学力のある子供が読むべき本だと思います。野矢さんの名前は、中学生であればおそらく、国語の2年の教科書に載っている『哲学的思考のすすめ』でご存知の方も多いことでしょう。文章の要約の仕方など、文章を書くための基本的なことがかなりわかりやすく解説されているので、かなりお勧めです。

 あと、ある程度偏差値の高い学校に入学する人に(できれば入学前に)是非読んでおいて欲しいのが、同じく野矢さんの『入門!論理学』という本です。この本は論理学の入門用テキストとして大学生の定番になっていますが、個人的にはむしろ、これから本格的に数学や現代文を学んでいく中学生や高校生に読んで欲しいです。その方が、より数学や現代文の理解が深まると思います。

2016年5月 8日 (日)

『これからの世界をつくる仲間たちへ』落合陽一

 最近テレビによく出演されている落合陽一さんの本です。内容は、これから世の中が大きく変わる中で、若者がどう生きていくべきかを説いたものです。理系の方ですが専門的な内容ではなく、分かりやすい文体で書かれています。

 内容を簡単に要約すれば、今までは事務処理能力の高いホワイトカラー(知的労働者)が出世のロールモデルだった、なので学力が高い=事務処理能力が高い人は成功できた、しかしこれからはコンピューターが加速度的に発展してホワイトカラー(知的労働者)のポジションを奪っていく、なので勉強ができるだけでは成功できない、成功したいならコンピューターにできないことをするしかない、コンピューターは事務処理能力は高いが創造性はない、なのでこれからは創造性のある人(「クリエイティブ・クラス」)を目指すべき、というものです。後半は、クリエイティブクラスになるために必要なことが具体的に書かれており、若者は勿論、私のような中高年にも非常に参考になる内容だと思います。

 ただ、実際のところ、現在の日本の教育システムでは、なかなか創造性を育てることは難しいだろうと思います。創造性とは答えのないものですが、最初から答えのある問題をテストや入試で出題して、それが解けると評価される、そういう環境では優秀なサラリーマンは育ちますが創造性は育ちません。これからは入試の形式もどんどん変わってくるでしょう、どの学部でも小論文は必須になってくると思います。

2016年4月29日 (金)

『僕らの仮説が世界をつくる』佐渡島庸平

 4月に入り少しスケジュールに余裕がでてきたので、色々と本を読みました。その中で役に立った本や面白かった本を少しずつ紹介していきたいと思います。

 まず紹介したいのが、佐渡島庸平さんの『僕らの仮説が世界をつくる』という本です。佐渡島さんは『宇宙兄弟』や『ドラゴン桜』をヒットさせた編集者で、現在は会社を経営されています。以前、NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演されていたので、知っている方も多いと思います。ちなみに、教え子の一人に顔がめっちゃ似ています。

 本の内容は、これからの働き方のモデルケースを示したものなので、どちらかというと働く若者やこれから起業をする人向けだと思いますが、勉強に関することも書かれています。佐渡島さんは中学受験に挑戦するも全滅し、中学時代を南アフリカで過ごされました。10人の日本人だけの中で、教材は教科書だけという環境だったため、仕方なく教科書だけを徹底的に学んだそうです。しかし帰国してみると思いのほか成績が良く、灘高校を受験してあっさり合格、そのまま東大文学部に合格されたそうです。本人曰く、「塾や他の教材に惑わされず、ひたすら教科書という基本だけをやっていた」環境が幸いしたとのこと。「基本の徹底」こそが重要で、高校に入って数学ができなくなった人は「(基本的な)計算問題をしなくなったから」、高校には行って英語ができなくなった人は「(基本となる)単語を覚えていないから」とのこと。

 進学校の場合、難関国公立の2次試験を想定したカリキュラムで授業が進められるため、基本は生徒の自己責任に任せ、授業では応用を中心に進められます。試験問題もそのレベルから出題されるため、生徒もその部分だけを勉強します。それについていける人は有名大学に合格できますが、それについていけない人は応用はおろか、基礎すらもできないという悲惨な結果になります。後者は、まずはとにかく基本「だけ」をすることです。基本がしっかりすれば、そこから応用に対応するのは容易です。学校が基本をしてくれないのであれば、自分でするしかありません。時には学校を疑うことも必要です。

 他にも、「人生を変えるには習慣を変えるしかない」という部分が多いに共感できました。保護者の相談でよくあるのが、子供がゲームばかりして全く勉強をしないというものです。前にも書きましたが、基本的に、子供に理屈は通じません。説教されても「うるせーな」というのが子供の本音です。ゲームばかりして叱られて「心を入れ替える!神に誓う!!」と言ったところで、たとえそれが本心であれ、そこにゲームがある限りするに決まっています。私なら絶対にします。また、今はネット社会で動画がタダで見放題なので、子供からすれば天国です。説教しても子供のストレスがたまるだけなのでかえって逆効果です。それよりも、ゲーム機などの遊び道具を処分するのが一番手っ取り早くかつ確実な方法なのですが、なかなか実行してもらえないことが多いです(隠したところで、子供は絶対に見つけ出します。子供はそういうところにだけ天才的な能力を発揮します。)。「捨てたで」というとキレるので、こっそりと壊しましょう。「壊れた」なら、子供も納得するでしょう。

 以上に取り上げた部分は枝の部分であり、メインはむしろ経営に関することですが、いろいろと参考になることが書かれており、非常にためになる本だと思いました。

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